日別アーカイブ: 2020年9月17日

オリンパスXAのカメラ修理

今日は「モノレール開業記念日」だそうですよ。
東京オリンピックが開催された1964年(昭和39年)のこの日に
浜松町~羽田空港間の「東京モノレール」(東京モノレール羽田線)が
開業したのだそうです。
今でも日本を代表するモノレール路線ですよね。
「モノレール」はその名の通り1本のレールの上を走ります。
通常の電車は2本のレールの上を走るのでそこが根本的に異なるのですね。
鉄の車輪ではなくゴムタイヤで走るので
静かで乗り心地も良いという利点もあります。
ちょっとややこしいのは同じようにゴムタイヤで走る
いわゆる「新交通システム」はモノレールとはまた異なります。
「ゆりかもめ」や「舎人ライナー」、広島の「アストラムライン」とかですね。
こちらはそもそもレールがなくコンクリートの走行面の上を
走行輪とは別途の案内軌条に沿って走るものなのです。
日本国内でもモノレールは減少傾向だと思いますが
それでも世界的にみると日本はモノレール大国なのだそうです。
建設コストがかなり削減できるということで
一時はかなり注目されたそうなのですが
実際はそれほどお安くは建設できなかったそうで
それが世界的には思ったほど普及していない原因の一つだそうです。
これを書くのにモノレールのことについて少し調べたのですが
東京モノレールのような形式のモノレールだけではなくて
モノレールって本当にいろいろなものがあってちょっと驚きでした。
もはやロープウェイ?みたいなものまであるのですねぇ。。。
それから瀬戸内の島々でよく見る「みかん運搬用」の
農業用のモノレール。。。言われてみれば確かにモノレールですね!
いろいろ調べてみると身近なものでも
知らないことはまだまだ多いですねぇ。。。

さてさて

本日は「オリンパスXA」のカメラ修理を行っています。
1979年に発売された35mm判コンパクトカメラです。
その後のコンパクトカメラにこぞって採用された
スライド式レンズバリアの元祖はこのXAです。
レンズキャップを不要にし、さらにファインダー窓も一緒に閉めるので
レンジファインダー機でありがちな
「レンズキャップの外し忘れ」もあり得ません。
レンズの出っ張りもないスタイリッシュさも先進的ですし
35mm判なのにハーフのペンと変わらない大きさも魅力です。
XAシリーズにはXA、XA1、XA2、XA3、XA4が存在しますが
レンジファインダー搭載なのはこの最初のXAのみです。
さらに絞り優先オート露出なのもこの初代XAのみです。
(他のXAはプログラムAE)
カメラの性格上なるべく簡単に。。。という面では
他のXAのほうが合っているという考え方もできますが
できるだけ自分で絞り値をコントロールして
やはり絞り開け気味の時にはしっかりピント合わせしたいという意味では
この初代XAが使いこなしがいがあると思います。

ただこのXAというカメラ、シャッターはもちろん電子制御で
レリーズボタンもフェザータッチで軽く押さえるだけで
シャッターが切れるという当時としては先進的なものです。
ここまで書いただけでもいざ壊れると修理が大変そうだということは
想像に難しくないかと思います。
XAは実は密かに修理依頼の非常に多いカメラです。
でもあきらかに拝見した時点で修理不能な状態のものも多く
お断りしているものも多いカメラなのです。
いったんお受けしたにしても修理でいるかどうかは
やってみないとわからない。。。というものも多く
そのためここのブログにはあまり出てこないのですね。
電子制御機であることも修理が困難な理由の一つではあるのですが
それよりもやはりこの大きさを実現するために
それなりに整備性に少し無理をした造りをしている部分も多く
壊れるとごっそりそのユニットごと交換しないとダメな部分も多く
当然新品ユニットが手に入らないので修理不能ということも多いのです。
さらにXAは一部レンズがカシメで留められているため
そのレンズ内側の清掃はできません。

お預かりしているXAはまずシャッターが切れません。
でも電源自体は入っています。
(BCが機能する、露出計が動いている)
こういう場合、普通の電子制御機なら
ソレノイドの汚れとかから疑うのですが
XAの場合はまずレリーズボタンの感圧センサーから疑います。
ここに汚れがたまると自慢のフェザータッチのレリーズが
動かなくなるのです。
今回もセンサーの汚れがシャッタ不動の原因でした。
それでシャッターは動くようになったのですが
今度はシャッター制御がやたらと不安定です。
シャッタユニット周りやソレノイド周りをチェックしていくと
ソレノイドにかかっている小さなキックバネが
外れてしまっていました。動作不安定な原因はこれのようです。

それからXAではよくあるのですがファインダー内表示の
露出計がやたらとオーバー気味です、
例えばASA100で絞りF16設定で明るさがLV15だと
露出計は1/125を指すのが正常なのですが
実際は1/30辺りを指してしまいます。
原因は受光体(CdS)の劣化です。
実はXAは絞り優先オートで露出制御するための
受光体や回路は完全に別回路になっていて
こちらにはあまり問題が起こらないのですが
ファインダー表示用の受光体だけが
やたらと劣化している個体が多いのです。
完全別回路ですからファインダー内で2段オーバーの
1/30で表示していても実際にシャッターを切ると
正常な1/125で切れ正確な露出となります。
とはいえファインダー内表示が正しくないのは
気分が悪いので今回も何とかできる限りの調整で
問題がないレベルに調整いたしました。
しかしながら毎回この調整ができるとも限りません
(もともと調整できるような構造ではありません)
おまけにオート制御用の受光体と
ファインダー内表示用のCdSは互換性がありません
困ったものです。

そんなこんなでなかなか整備するには問題の多い
XAですが今回は何とか安心して使っていただけるレベルで
整備が完成いたしました。
専用フラッシュのA11も問題なく作動します。
これを付けると少し自慢のコンパクトさがスポイルされますが
便利ですし専用だけあってスタイリッシュです。
元々このXAはご依頼者様のお父様のカメラなのだそうです。
きっとご依頼者様の子供の頃の写真もこれで
たくさん撮られているのだと思います。
当店としては比較的新しめのカメラですがそれでも
40年以上経過したカメラです。
こういうカメラができるだけ
今回のように引き継がれて使われていけばいいですね。
そうすれば私の仕事も少しは安泰。。。ですかね?(笑)

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