月別アーカイブ: 2023年6月

プリモフレックスのカメラ修理

今日は「和菓子の日」だそうですよ。
いいですよねぇ…和菓子…
甘いものは全て好きですが
餡子が特に好きなので
和菓子には大好物が多いです。
気軽にスーパーやコンビニで買える
大福やどら焼きで充分です。
甘い餡子入りの和菓子に濃い目のお茶か
コーヒーでとても幸せな気分になれますね(笑
餡子入りの和菓子と言えば
私の地元の名物に「いが餅」と呼ばれるものがあって
秋祭りの日には出来たて熱々のものが
地元であればあちこちで手に入るのですが
これが美味いのですよ…
見た目にも上面に色とりどりのもち米が付けられていて
見た目にも楽しいのです。
もう何十年と口にした覚えがありません…
時間が少したって冷めても美味しいのですが
どうせならできたて熱々のいが餅が食べたいですねぇ
祭りの日当日だけいが餅のためだけに
呉に帰省しようかな…とここ数年毎年考えるのですが…
今年こそ実行してみようかな…
こんなこと書いてたらいが餅のことで
頭がいっぱいになってきました(苦笑)
いずれにしても秋口なってから考えましょう…

さてさて

本日は「プリモフレックス」のカメラ修理を行っています。
東京光学から発売された二眼レフですね。
「プリモフレックス」にもいろいろなタイプがあるのですが
どれも今でも人気の高い二眼レフです。
プリモフレックスに限らずこの時代のカメラは
シリーズ名しか刻印されておらず
どのタイプか判別するのがなかなか難しいのですが
断言できるほどの資料も自信もないのですが
おそらく今回の「プリモフレックス」は「ⅢA」かと思われます。
最大の特徴はフィルム装填がスタートマーク合わせ式の
セミオートマットとなっている点で
それに加えてレンズフィルター枠がバヨネットではなく
独立したセルフタイマーレバーもありませんので
「ⅢA」かと思われます。
シャッターユニットはレクタスでさ1/500~1秒・Bまでカバーします。
レンズはトーコー7.5cmF3.5です。
ファインダースクリーンにはこの時期の「プリモフレックス」の
特徴でもある「トーコーブライト」と名付けられた
明るいフレネルレンズが組み合わされています。
シャッターチャージはシャッターユニットのレバーで行い
レリーズは独立したレリーズボタンで行います。
さすがにセルフコッキングは装備されませんが
この時代の二眼レフとしてはかなり高機能で
非常に使いやすいカメラです。

お預かりしている「プリモフレックス」は
おそらくかなり長い間使われずに
しまいこまれていたものかと思われます。
それでも保管状況はそれほど悪かったようではなく
外観や付属のケースも非常にキレイな状態です。
たださすがに何十年もの経年劣化は逃れられるものではなく
レンズ・ファインダーにはかなりのカビや汚れが付着しています。
ファインダーミラーも劣化でかなり曇っています。
これではさすがのトーコーブライトでも
ファインダーの見えは非常に悪く
とてもピント合わせのできる状況ではありません。
当然テイクレンズにもかなりのカビが発生しているので
写りにも悪影響があると思われます。
シャッターは何とか動作しているのですが
やはり粘りが見られます。
現状を確認するために整備前に何度かシャッターを切ったのですが
その間にシャッターが全く開かない状況になってしまいました。
単なる羽根固着ではなく駆動部にも動作不良があるようです。

いずれにしても全体的に整備が必要です。
画像は整備に取り掛かる前の
現状確認だけを行った時点でのものですが
こう見ても外観は既になかなか良い状態なのがわかります。
あとは本来の軽快な動きを取り戻せるように
各部の清掃整備を入念に行えば
快適に使っていただける状態になると思います。
このプリモフレックスはご依頼者様のご自宅で
使われずに眠っていたものだということで
ご依頼者様もこのカメラは使ったことがないそうです。
1950年代のカメラでの写真撮影を
存分に楽しんでいただけるように
しっかり整備して仕上げていきたいと思います。

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オリンパストリップ35のカメラ修理

今日は「生姜の日」だそうですよ。
生姜湯とか身体に良さそうですし
温まりますよねぇ
たまに冬場に無性に飲みたくなります。
これからの季節も生姜の出番は多いですよね
冷ややっことか素麺とかで…
練り生姜でお手軽に済ませてはしまいますが
冷ややっこには生姜とネギとポン酢ですよねぇ
どれが欠けても食べる気がなくなるほどです。
ご飯のおかずとしても合いますし
晩酌のお供としてもいいですし
…よく考えたら私、割と1年中結構なペースで
お豆腐(木綿)食べてますね。
夏は冷ややっこ、冬は湯豆腐で…
そしてこれまた結構なペースでポン酢も消費しています。
生姜は冷ややっこのときだけですが…
お豆腐のあのほのかな甘みが好きなんですよねぇ~
あ、でも生姜と言えば
やはり豆腐より魚料理の付け合わせですよね…
カツオやアジのたたき、しめサバ、お寿司のガリ…
そういえば長らく寿司なんて外で食べてないなぁ
(たまにスーパーのパックで買うくらい)
そんな高級なヤツでなくていいから
たまには寿司食べに行きたいですねぇ…

さてさて

本日は「オリンパストリップ35」のカメラ修理を行っています。
小旅行に気軽に持って行けるカメラという由来で
「トリップ」の名がつけられています。
その名の通りコンパクトで気軽に使えるコンパクトカメラです。
構造的にはハーフ判のペンEES-2をそのまま
35mm判にしたような造りになっています。
ピント設定は目測3点ゾーンフォーカスとし
露出はセレン光電池使用の露出計と連動した
プログラムオートです。
露出計の指針は見えない部分にありますが
指針を挟み込みことによって
2速のシャッタスピードと絞りを決定します。
開けてみるとよくわかるのですが
典型的な指針挟みこみ制御が非常にわかりやすく配置されていて
効率よく制御されているのがよくわかります。
セレン光電池使用なので電池も不要です。
露出計が動作しないような光不足の場合には
ペンEEシリーズでもおなじみの
赤ベロがファインダー内に出てきてシャッターレリーズもロックされます。
この機構とレンズを囲むように配置されたセレンのおかげで
うっかりレンズキャップを付けたまま構えてしまっても
そのままシャッターを切ってしまうことはありません。
逆にフィルム装填時の空写し等で
キャップを閉めたままシャッターを切りたい場合には
露出制御をフラッシュモードにすればシャッタを強制的に切れます。
少し話がそれますがフラッシュモードの話が出たので
少し補足しておくとトリップ35のフラッシュモードは
あくまでも露出計が動作しないような暗い中で
フラッシュを使うためのモードです。
明るいところで1/30固定マニュアル的には使えません。
詳細を書くと長くなるので割愛しますが
明るいところで露出計が動作していると
そちらの制御が優先となってしまい
フラッシュモードで絞りを設定していても
その絞りまで絞れない場合もありますので注意が必要です。
トリップは基本的に明るいところでは
オートで気軽に撮るカメラということですね。

構造もシンプルなカメラなので
セレンの劣化を除けば致命的なトラブルは少ないカメラともいえますが
絞りやシャッターの固着や粘りはやはり多いといえます。
ただ今回お預かりしているトリップは
若干の羽根粘りはありますが
それよりもスプールが巻き上げても全く回らなくて
フィルム巻上ができない状態になっています。
フィルム巻上は多くのカメラで
主にスプロケットの歯で行われて
スプロケット歯の大きな力でで巻き上げたフィルムを
比較的小さな力で回るスプールが巻き込んでいくという形になるのですが
スプールが全く回らないとさすがに巻上は空回りしていしまいます。
今回も案の定、ほぼすべてのコマがかぶってしまって
当店に修理に持ち込まれたという状況です。

まずは巻上周りがどんな状況か確認するために
レンズユニットおよびシャッターユニットを
ごっそり外します。ファインダーや露出計も一緒に外れます。
この画像の後でカウンター部を外すのですが
そうするとスプール上部がすべて見える状態になります。
予想はしていたのですが
スプール連動の歯車が大きく3つに割れてしまっている状態でした。
ここのギアはプラスチックなので
もともと劣化して少し脆くなっているところへ
何かの要因で大きな力が加わったのかと思われます。
スプール軸ごと中古良品と交換することで対応します。
巻上の修理整備がある程度終わったら
続いて少し粘りの見られるシャッターや絞りの整備を行い
レンズ・ファインダーの清掃を行い
露出計オートの調整を行っていきます。

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ミノルタSR-Tスーパーのカメラ修理

今日はなかなかピンとくる記念日のない日です。
で、外はまさに梅雨真っ盛りで
今日もしとしとと梅雨らしい前が降っています。
ゲリラ豪雨みたいな土砂降りは本当に困るのですが
しとしとと降る雨は室内から見ている分には
嫌いではありません。なんだか静かで良いですね。
ちょっと蒸し暑いのが嫌ではありますが…
ところで「梅雨」と呼ぶ由来って何だろう?と思って
少し調べたのですが
これも諸説入り乱れていてはっきりしないのですが
梅の実が熟す5〜6月頃に降る雨であることから
「梅」と「雨」で「梅雨(ばいう)」と呼ばれるように
なったと言われることが多いです。
これは私も聞いたことがありますね。
一方でこの季節に気温が上がり雨が降って湿度が高くなることから
カビが生えやすい時期のため「黴(かび)」と「雨」で
「黴雨(ばいう)」と呼ばれ、カビと聞くと聞こえが悪いので
同じ読みの「梅」を使い「梅雨」と読むようになったという説もあるそうです。
でもこれは両方とも「ばいう」の起源ですね
「つゆ」はというと
雨が多く降り、枝先や葉っぱについた「露(つゆ)」から
由来している説や
カビが生えやすい時期のため
梅の実が腐ってしまうことから「潰(つい)ゆ」といわれていましたが
呼び名が徐々に変化し「つゆ」と呼ばれるようになったともいわれています
ではなぜ「梅雨」=「つゆ」になったのかはよくわかっていないようです。
梅雨(ばいう)前線と言ったり「梅雨(つゆ)」と読んだり
日本語はややこしいですよね…

さてさて

本日は「ミノルタSR-Tスーパー」のカメラ修理を行っています。
大ヒット&ロングセラーとなった「SR-T101」の後継機…とも言えますが
SR-Tスーパーが出てからもSR-T101は併売され続けているので
ヴァージョンアップモデルといったポジションかと思います。
1973年発売のカメラです。
シャッター、ミラー駆動部、巻上周りといった機械的基本部分は
ほぼSR-T101と同じです。露出計回路や構造も同様です。
使い勝手の部分でいくつかの変更点があり
設定レンズ絞りがファインダー内で確認できるようになりました。
いわゆる直読式でレンズの刻印をそのままファインダー内に映し出します。
それに伴ってペンタ部のデザインも変更になっています。
そしてスクリーンがスプリット/マイクロプリズム式に変更になっています。
加えてアクセサリーシューが接点付きのホットシューになりました。
変更点はそのくらいだと思います。
これでSR-T101と二本立てのラインナップになり
後にさらにマイナーチェンジされ、それぞれ「SR505」「SR101」になるわけです。
SR-Tスーパー&SR-T101になってからも発売は
輸出も含めて好調だったようで今でも現存個体数は多いと思われます。
やはり基本がしっかりできているカメラはロングセラーになりますね。

お預かりしているSR-Tスーパーは人気のブラック塗装で
なかなか外観もキレイな個体です。
露出計も含めて一通りは動作してはいるのですが
細かくチェックしていくとそれなりに問題を抱えています。
まずご依頼者様からもご指摘いただいていますが
低速シャッター時にほぼ間違いなくミラーアップしたままに
なってしまいます。
次に巻き上げればとりあえずはミラーも降りてくるという
SR-T系ではよくあるパターンのトラブルです。
ミラー駆動部の動作不良ではなく
シャッター後幕の動作不良が原因で
最後まできちんと走りきらないから
後幕走行完了時にリンクするミラーダウンレバーを
うまく蹴れないことが原因です。
後幕の走行不良があるということは
見た目にはわからなくても当然ながら
高速シャッターにも影響が出ていて
シャッター走り始めの露光量と
走り終わりの露光量にかなり差が出てしまっています。
測定器で測ってみると
最も差が出る1/1000時には写真両端で1.5段ほどの差が出ます。
空とか白っぽい壁が背景だとはっきり影響が出ると思われます。
露出計も動いてはいますが精度は全く出ていません。
おそらくハンダ不良等の影響があるもののと思われます。
やはり全体的に整備が必要な状態です。
製造から50年経っているのでさすがにこれはしかたがないですね。

基本的構造がしっかりしているカメラで
部品も丈夫なカメラなので
一通り手を入れればまだまだ調子よく使えるカメラでもあります。
連動糸が多いので分解には少々気を使いますが
整備性も悪くはありません。
ただこのカメラも内部モルトがファインダー周りの多いカメラです。
分解時にはこのあたりの処置は必須です。
ただプリズム周りにはないのはいいですね。
モルトを原因とするプリズム腐食はないカメラです。
まだ取り掛かったばかりですが
これから入念に各部の整備を行っていきます。

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キヤノンF-1のカメラ修理

今日は「日記の日」だそうですよ。
1942(昭和17)年のこの日に
ユダヤ系ドイツ人の少女アンネ・フランクによって
『アンネの日記』が書き始められたことに由来しています。
私、読んだことないのですよね…
なので「アンネの日記」に関しては何もコメントできませんが
日記自体は小学生の頃とか中学生の頃に
何度か書こうとチャレンジしたことがありました。
これがまさに絵にかいたような「三日坊主」で
続きはしなかったですね(笑
今よりもずっと毎日変化に富んでて
いろんなことが巻き起こっていたはずなのですが
記録するまでの余裕はなかったようです…
でもお仕事限定ではありますが
このブログだって日記の一種ですよね
そう考えると厳密に毎日ではないですが
ちゃんと続いているじゃないですか…少しは成長したのかな(笑
今は手書きの日記だけじゃなくって
いろんな記録方法があるので
毎日の出来事でちょっと変わったことがあったときだけでも
何かに記録しておくのはいいですよね
忘れかけた頃に見返すと
記憶を呼び起こすトリガーにもなりますし…
でも私はもう今更いいかなぁ
忘れかける前に寿命が来そうな気もしますし…(苦笑)

さてさて

本日は「キヤノンF-1」のカメラ修理を行っています。
キヤノン初のプロ志向高級一眼レフですね。
この「F-1」の登場により
一眼レフの分野では正直立ち遅れていたキヤノンが
一気にトップブランドへと飛躍することになったカメラと言えると思います。
最初の「F-1」は1971年に発売され
「向こう10年は不変」と謳われていて
その宣言通り1981年の「NewF-1」登場まで
モデルチェンジを行わずフラッグシップ機として君臨します。
ただ発売から5年後の1976年に
マイナーチェンジを行っています。
基本的な構造やスペックに変更はありませんが
使い勝手の向上にかなり変化がありました。
変更点は10か所以上にも及びますが
資料によると下記の点となります。
・巻上レバー形状変更に巻上角/予備角が180/15度から139/30度に変更
・対応フィルム感度が25-2000から25-3200に変更
・シンクロターミナルがネジ留め式に変更
・ミラーの反射率とスクリーンマット面の粒子変更が行われより明るく
・レリーズボタン受け皿部のデザイン変更
・接眼レンズに多層膜コーティング追加、アイカップがゴムリングに変更
・標準スクリーンがA型からE型に変更
・バッテリーチェックSWが自動復元型に変更
・裏ブタにメモホルダー追加
・巻き戻しクランク日浮揚の際の落下防止にクリックが追加
改めてチェックしてみると結構変更されていますね。
使い勝手の向上に直結する部分が多いです。

今回、お預かりしているのはそのマイナーチェンジ後の
「F-1N」とも呼ばれるものですが
ただの「F-1N」ではなく
1980年のレークプラシッド冬季オリンピック記念モデルです。
大会公式カメラに認定されたのを記念したモデルですね。
巻き戻し側の上カバー前面に
記念モデルであるロゴが刻印されている以外は
通常の「F-1N」と変わりはないのですが
やはり記念ロゴが入っているだけで文句なくカッコ良いですね。
ちなみにF-1は1976年モントリオールオリンピック記念モデルも存在します。

元々エレガントでカッコ良いF-1が
記念モデルロゴのおかげでさらにカッコ良さが増しています。
お預かりしてる「F-1」は
一通り動作はしてはいるのですが
高速シャッターに問題を抱えています。
1/2000では完全にシャッターは開かず写真は未露光になり
1/1000でも開ききらず写真の一部が未露光となってしまいます。
当然そんな状態なので一応はシャッターが開く
1/500や1/250でも精度は出ていません。
原因はいつも書いているような気もしますが
積年の汚れと古い油脂類が混じって
幕軸や調速カムあたりの部品の動きを
悪くしてしまっていることが原因です。
以前、分解されている形跡もあるのですが
一部シンクロ関連の部品が
切り取られている箇所も見つかりましたので
そこは中古良品の部品と交換して対処しています。
上画像は一通りの整備が完了して
最終テストを行っている段階でのものですが
シャッタスピードは全域で良好な精度が出ており
露出計も現状では精度が今ひとつだったので
抵抗の変更で精度を確保しています。
これで安心してまだまだ長く使っていただけると思います。

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ペンタックスKXのカメラ修理

今日は二十四節気の雑節でいう「入梅」で
それに関連して「傘の日」ですね。
雨の日の外出はなかなか億劫なものですが
そこにちょっと思い入れのある傘があれば
少しは雨の日も楽しくなりそうですね。
シンプルなビニール傘も気軽に使えていいですけどね
私もそのへんにちょっと買い物行くだけであれば
ビニール傘を使います。
ただ気軽に使う分すぐどこかに置き忘れるのですよねぇ
そうそう、そういえばビニール傘ではあるのですが
先日、しまむらオンライン限定の
カープとスヌーピーのコラボ傘を買ったので
使うのが楽しみです!
ちょっといい傘はそれとは別に
1本持ってはいるのですが
うっかりどこかに忘れてきそうで
意外となかなか持ち出さないのですよねぇ
カープの傘も電車とかに置き忘れないように
注意しなくては…
土砂降りの雨ではとても出かけらなくて困りますが
しとしと降る梅雨らしい雨は意外と嫌いではありません。
雨の日グッズとかで楽しく過ごす工夫をしてみるのもいいですね!

さてさて

本日は「ペンタックスKX」のカメラ修理を行っています。
それまでのM42マウントから「ペンタックスKマウント」に変更した
「Kシリーズ」の中核を担うモデルです。
それまでの主力機種だった「SP系」の後継ともいえる
布幕横橋り機械制御シャッター機です。
もちろん単にSP系をKマウントしただけではなく
ファインダー内露出計表示は設定SSを表示する二針式となり
レンズ側の絞り値を直読する窓も装備されています。
これによりファインダー内で現在の露出設定を
簡単に確認することができ、露出計指示値との差も
一目で確認できます。露出計受光体もCDSではなくSPDです。
さらにファインダープリズムはそれまでのアルミ蒸着から
銀蒸着に変更になり、ミラアップ機構も追加されています。
フルマニュアル機としての使い勝手はかなり向上しました。
それでも機械的なベースはSPからほぼ受け継がれていて
そのあたりはもう成熟した信頼性の高い造りとも言えます。

ただ、問題の多い部分もそのまま受け継がれていて
相変わらずプリズムの外周を
ぐるりと1周モルトを貼って遮光しているのも変わらず
これが原因で多くの「Kシリーズ」のカメラは
プリズム腐食を起こしています。
今回、お預かりしている「KX」も真っ黒な帯が
中心を横切っている…とまではいきませんが
横方向に腐食が始まっていて視野を少し邪魔しています。
加えてセールスポイントのひとつでもある
露出計は電池を入れても全く動かない状況です。
そしてやはり各部の動きは悪く
シャッタースピードの精度も出ていません。
修理に加えて一通りの整備も必要な状況です。

プリズム上の基盤をと干渉しないように
上カバーにも大きなモルトが貼ってあるのですが
これも加水分解して基盤の一部を腐食させてしまっています。
内部モルトは外から見えませんが
何十年と経過しているカメラで未整備であれば
間違いなく劣化している部分なので対処が必要です。
まだ取り掛かったばかりですが
これから本格的に修理整備を行っていきます。

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オリンパスペンFTのカメラ修理

今日は毎年お馴染み「時の記念日」なのですが
「ミルクキャラメルの日」でもあるのですね。
1913(大正2)年のこの日に
森永製菓から「森永ミルクキャラメル」が
発売されたことに由来しています。
それまでは1899(明治32)年の創業以来「キヤラメル」とだけ
記載して販売していたのだそうです。
発売当初の森永ミルクキャラメルはバラ売りで
1粒5厘だったそうです。
私が知っているのは今でもある12粒入りの箱入りかな
中に紙で包まれたキャラメルが入っているものですね。
包装の紙は今は昔と違っているみたいですね。
でも外箱のデザインは昔とほぼ同じで懐かしいですねぇ
ミルクキャラメルもそうですが
セイカ食品さんのボンタンアメも今でも
昔と同じデザインで売っていますね。
あ、サイコロキャラメルも北海道限定で
今でもあるのですね。これもよく昔は食べてました。
懐かしいお菓子類を思い出し始めるとキリがないですね。
意外と今でも普通に売っているものも多いのですよね。
また近所の「おかしのまちおか」で
いろいろ買ってきます(食べすぎ注意・笑)

さてさて

本日は「オリンパスペンFT」のカメラ修理を行っています。
ジャンルとしても数の少ない
「ハーフ判一眼レフ」な上に独自の構造で
他に類を見ない唯一の存在ともいえる
「ペンFシリーズ」の一員です。
最初に発売された「ペンF」をベースに
巻上をシングルストロークとし
セルフタイマーを装備
加えて第三反射面にハーフミラーを入れ
その背後にCDSを配置し電池室も追加
露出計内臓としたのが「ペンFT」です。
他、ファインダースクリーンやシンクロ接点も変更され
内部部品もかなり変更を受けています。
オリジナルの「ペンF」登場から3年後の
1966年発売のカメラです。

お預かりしている「ペンFT」はミラーアップしたまま
固着してしまっている状態です。
ペンFシリーズに共通して多くみられるトラブルです。
ミラー駆動部も他の一眼レフでは見られない
独特の構造をしているのですが
汚れや油切れで動きが悪くなると
比較的簡単にミラーアップ関連の
トラブルが起こりやすいと言えると思います。
ミラーボックスを降ろして駆動部の整備を行うことで
もちろん直りますが
未整備の個体だと
このトラブルが起こる可能性は非常に多いと思います。
今回はそれに加えてフィルムカウンターの動きも悪く
50枚以上のカウントで止まってしまうようです。
これは単純にカウンターの動作不良だと思われます。
お預かり時にミラーアップしている状態だったので
詳しくは確認できていなかったのですが
露出計が不動でした。
接点や配線等の不具合で単純に不動のみであれば
まだ良かったのですが
露出計本体及びCDSにかなり劣化や問題を抱えており
露出計はとりあえず動くようになっても
どうにも精度が確保できない状態でした。

画像は整備完了後の状態でのものです。
いろいろとかなり苦労しましたが
CDS、露出計本体は中古良品と交換することで対処しました。
以前に分解歴のある個体で
今回はハーフミラーに問題はありませんでした。
ミラーアップやガバナ関連等のペンF系全般に多いトラブルは
なんとかできるのですが
今回は対処できたとは言え、FTの露出計関連は
今後、修理は難しくなるかもしれません。
ハーフミラーはまだ何とかなるとしても
CDSもペンFTでしか使われない変わったタイプのもので
露出計制御基板内の不具合も多く
このあたりは交換部品の確保が相当難しくなってきています。
とりあえず現段階で当店での基板やCDSの
中古良品の在庫は在庫は既になくなってしまいました。
このあたりの部品の確保も
日に日に難しくなってきており悩みどころとなってきています。
何はともあれ今回のペンFTは露出計も含めて
非常に快調な状態に仕上がりました。
これから最終チェックを行って完成となります。

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ニコンF2のカメラ修理

今日は6月9日…とくれば
簡単にイメージできますが
「ロックの日」ですね。
音楽の「Rockの日」でもあり
鍵の「Lockの日」でもありますね。
音楽のほうはひとくちにロックといっても
非常に幅が広いですよねぇ
私はいまだに80年代のハードロックが好きではありますが…
鍵のほうはお店のカギから自宅のカギ
自転車のカギに至るまで
なんだかんだと数種類持ち歩きますよねぇ
ただ…最近の窃盗犯の手口とかを聞くと
コストとか手間とかを考えなければ
その道のスペシャリストの手にかかれば
開かない鍵なんてないのじゃないかと思ってしまいます。
それでも簡単に開けられるわけにはいかないので
ちゃんと戸締りはしなくてはいけませんが…
ところで今の普通のカギに比べると昔の実家のカギは
ひっかけるだけの非常に簡単なカギでした…(笑
そもそも歩いて行ける近所に買い物に行くくらいでは
カギをかけて行かなかったですね…
今では考えられませんがこれも時代ですねぇ

さてさて

本日は「ニコンF2」のカメラ修理を行っています。
「F2」となると「フォトミック」が依頼に来ることが多いのですが
今回はシンプルな「アイレベル」です。
構造上フォトミックだと「F」ほどではないにしろ
少々頭でっかちな感じに見えてしまいますが
(その無骨さもF2らしくて良いのですがね)
アイレベルだと非常に端正な印象に思えます。
「F」にしろ「F2」にしろ
本来の姿はやはりアイレベルが基本なのでしょうね。
アイレベル同士を比べると
「F2」は「F」のマイナーチェンジくらいの違いしかないのではないかと
思われがちですが
中身を見ても「F2」は「F」とは全く異なります。
確かに基本的な構造の考え方は「F」を引き継いではいますが
共通する部品なんて全くないですし
全てにおいてブラッシュアップされた全く異なるカメラです。
機能的には1/2000が追加になったくらいしか
違いがないともいえますが
レリーズボタンの位置、巻き戻し時の使い勝手
丁番式になった裏ブタ等々
使い勝手の面ではかなりの部分で進歩や改良が見られます。
そして相変わらずのオーバークオリティな各部品が
非常に高い精度で組み上げられ
他に類を見ない堅牢性を誇ります。

経年劣化で動きが悪くなることはさすがにありますが
「動かない」なんてことは少ない「F2」です。
しかしながら今回お預かりの「F2」は
巻き上げできずシャッター切れずの
何もできない状態になってしまっています。
「F」や「F2」では少し珍しいですね。
ショック品であればそういうこともあるかとは思いますが
全体を見た感じではそうとも思えません。
確かに外観自体はかなり使い込まれていて
いい感じにスレてはいるのですが
落下等で何かが破損している…という感じではないようです。
現状を良く確認すると
シャッターはチャージされてはいないようで
レリーズできないのではなくて巻上ができない状態だと思われます。
ただ幕の位置から判断すると
完全にリリース状態ではなくて
ほんのわずかに巻き上げかけた段階でそれ以上巻き上げられず
そこで固まっている…という状態のようです。

何はともあれそれ以上は分解してみないとわからないので
分解整備に取り掛かります。
結論からいうとレリーズ後に解除されるはずの
シャッタードラムのロック機構が解除されず
巻上ができない状態に陥ってしまっている状態でした。
強制的にロック解除して動作させても
その部分の動作が汚れ等で粘っていて
すぐに同じ症状が出てしまう状態でした。
結局のところ汚れや古い油脂による粘りと動作不良です。
加えて以前に分解歴があると思われる状態でしたが
幕速の設定がかなりおかしな状態になっていました。
動きの悪い状態で無理やり
シャッターを開こうとさせたのではないかと思われますが
幕のテンションが明らかに張り過ぎです。
本来のスムーズな動きができるようにしてやれば
必要最小限のバネ力で充分に精度は出せるはずです。
一旦完全に緩めて一通りの整備を行った上で
正しい手順で幕速の設定を行っていきます。

画像は一通り整備が終わり組み上げ後のものです。
全体的に非常にスムーズな動きになり
もちろん巻上も滑らかです。
高速シャッターを含めシャッタースピードの精度も
充分にでています。
元々、「F2」は「F」に比べると1/2000確保のためもあり
幕速はかなり速いのですがそれにしても
整備前の状態は以上に張りつめすぎでした。
そのためシャッター音も
明らかに通常とは異なる音がしていました。
シャッタードラムに悪影響が出ないかと心配しましたが
そこは杞憂に終わり
問題なく今回の整備で正しい状態になっています。
黒のアイレベル…やはりカッコいいですね。
これから存分にご依頼者様には楽しんで使っていただければと思います。

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オリンパスXAのカメラ修理

今日は「成層圏発見の日」なのだそうです。
1902(明治35)年のこの日に
フランスの気象学者テスラン・ド・ボールによって
成層圏が発見されたのだそうです。
成層圏とは、1万m以上の上空で気温が一定していて
気象の変化がなく約50kmの厚さで地球を取り巻いている
大気の層のことを意味するのだそうです。
国際線のジェット機が飛ぶのはこの成層圏の
一番下層あたりですね。
成層圏の中にはオゾン層が存在し
太陽からの紫外線を吸収しています。
成層圏の下の対流圏(地上~高度10kmあたりまで)では
空気が対流し雲が生じる層です
(正確には成層圏でも風は吹いていて空気の対流も
少ないながらあるのだそうです)
さらに成層圏の上には中間圏・熱圏・外気圏と呼ばれる
大気の層が続いていきます。
大気の層と言ってもし劉建より上ではその濃度は非常に薄く
気球の上昇する高度は成層圏上部の50kmほどと
飛行機よりもかなり高いのですが
空気密度は地上に比べわずか0.08%、
ほぼ空気がない状態なのだです。
非常に高いところの話のような気もしますが
それでも50kmです。地表であれば直線距離で
新宿から平塚あたりまでの距離です。
そうイメージすると大気の濃い層って
地球全体から考えたらめちゃくちゃ薄いような気がしますね。

さてさて

本日は「オリンパスXA」のカメラ修理を行っています。
1979年発売開始のカメラです。
非常にコンパクトなレンジファインダー機でありながら
スライド式のレンズバリアーを備え
レンズキャップを不要とした画期的なデザインのカメラです。
このクラムシェルとも呼ばれるレンズバリアーの構造は
後の数々のコンパクトカメラにも
影響を及ぼしています。
XAは今回の最初の「XA」から
後にXA2、XA1、XA3、XA4とモデルが追加されていきますが
この最初のXAのみがレンジファインダーを搭載し
絞り優先オート露出となります。
(他のXAシリーズはプログラムオート)
搭載されるレンズは超小型ながら5群6枚のFズイコー35mmF2.8です。
現在でも非常に人気の高いカメラですが
なかなか修理する立場としてはややこしいカメラで
露出計周りや電子制御関係のトラブルは
対応できず修理不可能となる場合も多々あるカメラです。

お預かりしているXAは
シャッターは切れているのですが
絞りレバーを動かしても全く絞り羽根が出てきません。
絞り優先オート機なので
これでは露出計が生きていようがシャッターが正常に切れようが
まともな露出で撮影することはできません。
単純な羽根固着あるいは粘りと予想していたのですが
分解してみるとそうではなく
絞り羽根の乗っているプレート部品が
少しズレた状態で取り付けられていて
絞り羽根が押さえつけられた状態になり
一度開くと戻らない状態になっていました。
以前分解された時にこの状態で組付けられたものと思われます。

心配された電子制御関連に大きな問題はなかったのですが
接触不良を起こしそうな接点や
トラブルの多いSW類の清掃整備を徹底的に行っています。
余談ですがXAの露出計は基本的に
修理や精度調整は当店では不可能です。
(CDS劣化を原因とするトラブルが非常に多い)
今回は露出計の精度に大きな問題は見られませんでした。

上画像は整備が一通り完了した状態でのものです。
これから最終的なテストを行い
問題がなければ完成となります。
専用フラッシュA11を装着していても
十分コンパクトですがフラッシュを外すと
ハーフカメラ並みの大きさしかありません。
非常に持ち歩きに便利なカメラです。

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ロードⅣbのカメラ修理

今日は「緑内障を考える日」だそうです。
「りょく(6)ない(7)」(緑内)と読む語呂合わせからだそうです。
これまたイヤな記念日ですねぇ(苦笑)
考えるも何もある程度の年齢になったら
定期的に目の検診にはいかなくてはいけませんね
私は糖尿病持ちでもある上に
頭がいかれてからは左目に少し問題を抱えているので
3ヶ月に1回ペースで眼科に通っています。
緑内障は基本的には発症すると
完治はないですから怖いですよね
国内では最近になって糖尿病網膜症を抜いて
最多の失明の原因となっているのだそうです。
眼圧検査、眼底検査、視野検査は
定期的に行ったほうがいいかと思います。
緑内障に限らず目に関するトラブルって
少しずつ見えにくくなるようなものが多く
意外と気が付くのが遅れるのが怖いですね
もちろん歳をとれば視力がそれなりに落ちてくるのは
当たり前な部分もありますが
何か重大な病気のサインの可能性もあるので
やはり定期的にチェックすることが大事かと思います。
目に限らず身体のトラブルはとにかく早く見つけて
迅速に対処するのが大事ですね…この歳になると痛感します。

さてさて

本日は「ロードⅣb」のカメラ修理を行っています。
「ロード」は岡谷光学機械が製造していたカメラシリーズで
35mm判レンズ固定式カメラです。
その中で「ロードⅣb」は1955年発売のカメラで
レンジファインダーを搭載し
レンズはハイコール4cmF2.8
シャッターはこの時代ではお馴染みの高級シャッター
セイコーシャMXを搭載しています。
この時代の35mm判カメラとしては
非常にコンパクトにまとめられていて
質感も高く根強い人気のあるカメラです。
巻上はダブルストロークで巻上が2回完了すると
レリーズボタンがぴょこんと少し持ち上がり
チャージ完了であることを教えてくれます。

お預かりしている「ロードⅣb」は
レンズシャッターの宿命ともいえる
シャッター羽根粘りが発生していて
巻上げてレリーズしてもシャッター羽根が全く動いてくれません。
こういうレンズシャッター機で症状の場合は
大抵の場合は羽根の粘りが原因ですが
まれにシャッターユニット側の駆動部に問題がる場合もあります。
今回は分解してみたところ
シャッター羽根にしっかり油が付着して
完全に張り付いてしまっていたようです。
羽根を外してしっかり洗浄清掃して対処いたします。
シャッター羽根に油分は厳禁ですが
そのシャッター羽根を駆動するシャッターユニットには
ある程度の油分が必要なので
長年のうちに羽根に染み出してきてしまいます。
シャッターユニット側は油切れ気味で少し動きの悪い部分もあったので
清掃整備を行い必要最小限の注油をい行います。

画像は一通り整備が終わって少し様子見の段階です。
この後で最終的なテストを行い
問題なければ完成となります。
シャッターが快調に動作しているのはもちろんですが
巻上やピントリングもお預かり時より
明らかにスムーズに動作するようになっています。
レンズ・ファインダーもできる限りの清掃を行い
充分にクリアな状態です。
50年代のカメラは高級感を演出するために
ちょっとゴテゴテとした装飾の多いカメラもたまにあるのですが
このロードⅣbは高級感とシンプルさが
絶妙にバランスされたデザインだと思います。
コンパクトさも相まって今でも人気があるのが
よくわかる気がします。

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ミノルタハイマチックFのカメラ修理

今日はなかなかネタにできそうな記念日のない日ですねぇ
「世界環境デー」「ろうごの日」
「ロゴマークの日」「落語の日」等々…
「ろうごの日」なんて確かに個人的に
自身に関係のある日だとも思いますが
。。。コメントしづらいですね。。。
ネガティブな文章に流れていきそうなので
ここで取り上げるのはやめましょう(苦笑)
ちなみに記念日ではないのですが
今日は「天赦日」なのですよね。
天赦日は季節と日の干支で決まり
年に5回または6回しかなく
年によってその日付は変わります。
個人的にはこの類の縁起の良い日とかは
あまり興味はないのですが
天の神々が万物の罪を赦(ゆる)す日とされ
全てにおいて吉とされる暦の上で最も縁起が良い日なのだそうです。
うーん…まぁ何もないでしょうね(笑
天赦日に財布を新しくすると
金運がアップするといわれているそうですよ。

さてさて

今日は「ミノルタハイマチックF」のカメラ修理を行っています。
1972年発売のカメラです。
この前年に発売された「ハイマチックE」の下位モデルとして
発売されたモデルです。
ミノルタはこの時期にラインナップするカメラの電子化を
積極的に進めているのですが
レンズ一体型コンパクトもこの「ハイマチックE/F」で
電子制御化に方向変換し
さらに小型化も大きく進めることになりました。
大口径レンズ搭載の「E」に対して
「F」はF38mm2.7レンズを搭載します。
レンズもそうですがボディも「E」より一回り小型で
非常にコンパクトなカメラです。
露出制御は「E」と同じくプログラムオート専用機で
「E」がセイコーESFシャッターを搭載し
「F」がセイコーESLシャッターを搭載します。
このシャッターユニットの違いが修理する立場としては
かなり大きな違いで
余談になるので細かな事情は省略しますが
「ハイマチックE」だけではなくセイコーESFシャッター搭載機は
残念ながら現在当店では修理を行っておりません。
「F」に搭載されるESLシャッターにしても
電子部品関連の状態によっては修理不可能な場合もございます。
この類の電子制御機はなかなかいろいろと難しいのです。

お預かりしている「ハイマチックF」は
かなり長い間、使われずに仕舞い込まれていたものと思われます。
電池室には当時の水銀電池NR52が入ったままとなっていて
当然ながら電池及び電池室の一部は真っ黒に腐食している状態です。
当然ながら電池を入れ替えても
カメラ側には全く通電しない状態です。
電子制御シャッター機なので電源が入らないと
シャッターは機械的な作動音だけはしますが
全く制御されずシャッター羽根は開かない状態です。
シャッターユニットや電子回路状況がどうかのを判断するにも
まず電源が入らなければどうにもわからない状態です。
電池室端子腐食は当然ですが
そこからの配線も当然ながら腐食で断線していて
配線の先にあるボディ上部の端子盤にまで腐食が広がっている状態です。
これはまず電源が入る状態にするだけでも
それなりに手間がかかりそうです。

まだ取り掛かったばかりの状態ですが
シャッターユニット単体に強制的に電源を繋いでみたところ
精度等はともかくとしてもとりあえず動作自体はするようです。
ESLシャッターは比較的シャッターユニット単体での
トラブルは少ないほうなので何とかなると思います。
電気関係のみならずレンズ・ファインダーのカビ曇り等々
通常の整備清掃ももちろん必要な状態なので
まずは配線関係の修理を行いつつも
並行して各部の整備を行っていきます。

個人的にハイマチックFを
スナップ用に持ち歩いていた時期があるのですが
取り回しが良くて非常に使いやすいカメラです。
レリーズがロングストロークな上に
シャッター作動時に「ジャキーン」といった感じの
独特な作動音がします。
好みもあると思いますがなかなか面白いカメラでもあります。
写りは定評あるロッコールですから
当然の良い写りをするカメラです。

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