今日は10月9日ということで
「どう(10)ぐ(9)」(道具)
「道具の日」です。
私もこんな仕事しているわけですから
毎日いろいろな道具を使いますし
なかには自作の道具なんかもあるわけですが
作業を正確かつ効率的にこなすためには
少々の器用さとかではなくて
正しい道具を正しく使用する。。これに尽きると思います。
まぁ確かに最低限の器用さは必要ですし
器用なことに越したことはないですが
まずは道具を慎重に正しく使うことだと思います。
で、大部分の道具は所詮消耗品です。
例えば精密ドライバー、高級なドライバーは食いつきも良くて
非常に使いやすいのですがいつまでもその性能は維持できません。
やはり摩耗が進むと食いつきは悪くなりますし
食いつきの悪いドライバーをいつまでもごまかして使っていると
大事な場面で滑らしたりネジを舐めて酷い目に合うと思います。
そこそこのレベルの道具を
小まめに見切りをつけて交換するのが効率は良いと思います。
(そりゃ高級ドライバーを頻繁に買い替えられればベストですが。。。(苦笑))
ハンダこてのこて先なんかもそうですね。
新品のこて先は「うわ気持ちよい!」いうほどに瞬時にハンダも乗って
瞬時にくっつきますがそのベストな状態はそんなに長く続きません。
もうちょっといけるかなぁ。。。というところで変えておくべきですね。
これもごまかしていつまでも使っていると
フレキをダメにする原因となりえます。
そういうのも含めて経験なんでしょうねぇ。。。
今日もその経験を少しずつ積み重ねていきたいと思います。
さてさて
本日は「ヤシカエレクトロ35CC」のカメラ修理を行っています。
35mmF1.8という大口径のカラーヤシノンレンズを搭載した
数あるエレクトロのモデルの中でも
唯一の35mm広角レンズを搭載したカメラです。
おまけにレンジファインダーも搭載です。
意外とこの組み合わせのカメラは少ないと思います。
この類のカメラの時にたびたび書いていますが
この頃の大口径レンズはボケを楽しむものではなく
それほどの高感度フィルムがまだ存在しなかった時代に
(当時の主力はISO100)
光量の足らない場面で少しでもSSを稼ぐための大口径です。
エレクトロは絞り優先AE機なので
あえて開放でボケを狙うこともできますが
開放以外だとCCの絞り羽根は2枚羽の変わった形ですので
なかなか思ったようにはいかないかもしれません。
それにしても35mmF1.8レンズは
現在の水準でもなかなかの高級レンズです。
良くこの時代にこのカメラが発売されたなぁ。。と思います。
(CCの発売は1970年)
お預かりしている「CC」は電池室にかなり腐食が:見られ
端子も緑青に覆われています。
もちろん電源は入りません。バッテリーチェックも点灯しません。
端子を磨くのはもちろんですが
配線も腐食しているのでリード線も交換して
まずは電源を入る状態にしなくてはいけません。
「CC」の電池室は上カバー部にあり
上カバーを開けると比較的開く背うの楽なところにあります。
しかしながら配線を交換しようとすると
やはりレンズボードは取り外す必要があります。
配線を交換し、そこの時点でアクセスできる接点等の清掃を行い
いったん仮組して動作確認を行います。
電源が入ると正常にシャッターも切れ
オートも細かい精度はともかくとりあえず正しく動作しているようです。
「うん、あとは普通に整備・清掃すればOKかな。。。」と思っていたら
ある条件で動きがおかしなことに気づきました
「赤ランプ」が点灯する状態(光量オーバーでSS最高速で切れる)で
レリーズするとシャッターが開いたままになってしまいます。
「あらら、これは参ったな。。。」と症状をもう少し確認すると
その開きっぱなしの状態で巻き上げると
シャッタ羽根が少し出てきた位置で止まります。
まだ2/3以上は開いたままです。そしてレリーズすると「パシ」と
シャッターがやっと閉じます。
警告ランプが出ない状態や黄色ランプ(スロー警告)が出る場合は
普通に動作します。
これは。。。制御部の問題?でもランプの点灯タイミングは悪くないし
なんか違うような気も。。。。最高速(1/250)のときだけだよなぁ
さては???と思いシャッターユニット側を確認します。
シャッター羽根駆動がマグネットになっただけで
シャッタユニットの基本的構造自体は
この時代はまだ機械制御も電子制御もさほど変わりません。
セルフタイマーが見えますがこれは昔ながらの機械式です。
で、マグネットの通電に応じて
金属板がくっついたり離れたりすることで
シャッターが切れるのですがこの金属板の支点が
汚れで粘っていてスムーズに動くことができないようです。
軸の清掃とわずかな注油を行い再テストしたところ
見事に症状は一切出なくなりました。あぁよかった(苦笑)
先にシャッターユニット側の整備もやってから
動作テストすればよかっただけですね(汗)
とりあえず電源が入った状態で正しく動くかどうかを
先に確認したかった(基板不良等の可能性もあるので)のですが。。。
マグネット吸着部の清掃や機械的部分の整備も
このタイミングで一気に行います。
これ以降、大きなトラブルもなく
快適に動作するようになりました。
あとはファインダーや距離計の清掃、調整を行い
組み上げればほぼ完成です。
↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。