日別アーカイブ: 2020年10月19日

ニコマートFTNのカメラ修理

今日は「レッカーの日」なのだそうです。
古い車に乗っていると
お世話になることも多いかと思います。
駐車禁止でレッカー?それはいけませんねぇ
私、サラリーマン時代に自動車ディーラー何社かに
それなりに勤めていたこともあって
さすがにレッカー(牽引)はないですが
キャリアカーは何度も運転したことがあります。
クルマをそれ用のキャリアカーに積むことは
フックのかける場所も決まっていて
しっかりウィンチで引っ張って固定できるので
それほど難しくはない作業です。
(動かないクルマだったりするとそれなりに大変ですが。。。)
それよりも軽トラにバイクを載せて
ロープで固定するほうが大変ですし神経も使います。
まず載せるのこと自体がローダーをかけて
それなりに大変です。
で、さらに適切な位置にロープをかけてしっかり固定することが大変です。
以前乗っていた250のバイクを軽トラに載せて
広島まで行ったことがありますが
載せている最中もかなり神経を使いました(苦笑)
まぁ、もうそんなことをする機会はないかな。。。
ロープの結び方も忘れちゃいましたねぇ(笑)
全然レッカーの話じゃなくなってしまいました。。。すみません。。。

さてさて

本日は「ニコマートFTN」のカメラ修理を行っています。
ニコマートは1960年代~70年代にかけて
ニコンの中級機としては発売されたカメラです。
機械制御シャッター機の「FT系」と
電子制御シャッター機の「EL系」に大きく2つに分けられます。
後の「FM/FE」の前身となります。
「FT系」はFT、FS、FTN、FT2、FT3と
5つのモデルが存在しますが最もたくさん販売されて
現存してる台数が圧倒的に多いのも
今回の「FTN」だと思われます。
FTをベースに開放F値補正操作(いわゆるガチャガチャ)を採用し
絞りリングを1往復させるだけで開放F値がセットされるようになりました。
やはりこれがあるとないとではレンズ交換時の手間が
全く変わってきますよね。
さらに平均測光から中央部重点測光に変更されています。
使用電池はまだMR9(水銀電池)の時代ですので
現在使うには形だけ合わせた特殊な電池を使用するか
何らかの電池アダプタを使用する必要があります。
ニコマートに限った話ではないですが
この時代の露出計は電池室から電圧調整されることもなく
SW等を経てそのまま露出計に繋がっているものがほとんどです。
。。。となると水銀電池では電圧1.3Vですが
現在の電池の多くは1.5Vです。
電圧変換型の電池アダプタ等を使う場合は問題ないですが
そのまま1.5Vで使うと0.2Vの電圧アップで
露出計の針は振りすぎて1.5段ほどアンダーの値を示してしまいます。
もちろん整備には調整できるので相談していただければと思います。
余談ですがLR44等のアルカリ電池は使っているうちに
電圧は下がっていきます。それも電圧が下がっていることに
気が付かないことも多いと思います。
電圧が下がると当然、露出計の振りは足らなくなるので
露出計はオーバー気味の値を示すことになります。
その辺りのことを考慮すると
やはりカメラの電池は電圧の安定した酸化銀電池(SR44等)のほうが
安心して使えるかな。。。とは思います。

話が逸れてしまいました(汗)
で、ニコマートFTNの修理です。
お預かりしているFTNはキレイなブラックのボディで
一通り動作もしています。
ただ定番のマイラー抵抗の汚れか劣化と思われますが
露出計が妙に不安定な動きをします。
シャッターは堅牢さで定評のあるコパルスクエアですし
しっかり動作している感じだと思っていたのですが
実際の作業前に細かくチェックしていくと
高速シャッターの精度が全く出ていません。
1/1000で1/125くらいしか出ない状態です。
確かにシャッター音からも
明らかに1/1000にしては遅い動作音がしています。
何度か切っているとたまに1/500くらいで
切れることもあるのですが
ほとんどが1/125あたり酷いときには1/60以上で切れます。
汚れかダンパーゴムか何かが引っかかっているか
何にしても何かが動きを妨げているのは間違いないようです。

まだ上カバーを外し、
ファインダスクリーン等を取り外しているところです。
これからミラーボックスを外し
シャッターユニットの整備に取り掛かります。
シャッター羽根の清掃を行って
各部の清掃・注油を行えば
おそらく正しく動作してくれるのではないかと思います。
どうにも変わりばえしなければ
シャッタユニットの交換を含めて検討します。
ちなみに今回はAi-Sのマイクロニッコール55mmF2.8が
装着されていたのですが
そxひらは定番のダブルヘリコイドの固着もなく
レンズも比較的キレイだったのですが
絞り羽根が引っ込んだまま全く出てきません。
油シミで固着してしまっているようです。
こちらは先に整備を行い、ヘリコイドの再グリスアップや
レンズ清掃も既に完了しています。
絞り羽根は非常に歯切れよく開閉するようになりました。
さて問題はボディ側のシャッタユニットです。
他部分の整備調整も併せてこれから本格的に取り掛かります。

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