日別アーカイブ: 2020年11月6日

キヤノンA-1のカメラ修理

今日は「アパート記念日」だそうですよ。
1910(明治43)年のこの日に上野に
日本初の木造アパートが完成したのだそうです。
「上野倶楽部」という名前が付けられており
洋風の外観を持つ5階建て70室の賃貸アパートで
上野公園隣接、洗面所・浴槽・電話は共同だったそうです。
結構大きなアパート。。。というかマンションに近いのでは?
それで風呂共同は結構大変そうですねぇ。。。
もう100年以上前の話ですものね。
それにしても都内(特に23区内)の家賃の高さには
まいっちゃいますよねぇ。。。
もはや私はいろいろなタイミングを逃しちゃったので
一生、賃貸アパート住まいだとは思いますが
都内の家賃払っていることを考えると
地方だったら戸建て買えちゃいますものねぇ。。。
まぁ、仕事のことやら
これから自分が朽ちることを考えると
便利の良い都内からは離れられない気がしますが。。。
いや、ほんと徒歩だけで毎日の生活が完了する環境でないと
いざというとき本当に困るような気がします。。。
(なんといっても気ままな一人暮らしだからねぇ)

さてさて

本日は「キヤノンA-1」のカメラ修理を行っています。
1978年発売の「カメラ・ロボット」です。
正に当時の最先端の電子技術を満載としたカメラです。
やはり一番の売りは5モードオート露出でしょうか
(プログラムAE、絞り優先AE、SS優先AE
絞込実絞りAE、スピードライトAE)
前年に世界初の両優先AE搭載機のミノルタXDが発売されていますが
それを超えるスペックで登場したことになります。
この時代のキヤノンを代表するカメラだと思います。
私も中学生の頃に憧れたカメラです。
スペックがどうこうというより
単純にカッコよかったとい記憶が残っています。
うちはじいさんがニコン党で
当然家にあったカメラもニコンがメインだったから
スタイリッシュなキヤノン機が妙に羨ましく感じられました。
今、考えると、ただのないものねだりだったのですが。。。(笑)
そんな個人的な家の事情はともかく
高価な高級機であったにも関わらず
A-1はヒットしたカメラです。
70年代のカメラを語る上で決して外せない1台だと思います。

そんなA-1もデビューして40年以上が経過します。
バリバリの電子制御機であるA-1は
やはり電子部品関係にトラブルがあると
修理不能のことも多々ございます。
今回、お預かりしているA-1はご依頼者様が
新品で購入しずっと使い続けているものだそうです。
使う頻度はさすがに落ちてきているのだと思いますが
非常に大切にされ続けているのが美しい外観からもわかります。
さすがに経年劣化はそれなりに起こっていて
キヤノンAシリーズでは定番のシャッター鳴きが発生しており
モルトも全滅の状態です。
シャッター周りに油切れの兆候も見え始めており
高速シャッターでは幕速のバランスも崩れてしまっています。
。。。とはいえ致命的なトラブルもなく
通常の整備一式で
快調な状態に戻るだろうな。。。と思っていましたが。。。
分解前の現状チェックで
低速シャッターの制御で異常があることが発覚しました。
1/8以下の低速時に表示も実測も1/30あるいは1/15で
切れてしまうようです。
もちろん電子制御機なので
低速シャッターはガバナ制御とかではありません。
これは参った。。。明らかに電気的な問題です。
とはいえ、せっかくお預かりしているもので
乗り掛かった舟です。
いろいろ調べてみると(そうとう時間かかりました)
どうやら電子部品がダメなのではなく
フレキの接触(正確に言うとフレキとダイヤル基部の接続部分)に
問題があるようでその部分のフレキを交換することで
症状は改善され全く問題なく
低速シャッターも動作するようになりました。
でも今回は正直言ってたまたまです。
SS制御のできない、あるいはオート制御のできないA-1は
通常は修理不可案件です。

どうにかこうにか完成となった状態です。
こうしてみるとやっぱり文句なしにカッコ良いカメラですねぇ
SS制御不良もあったので
通常以上にいろいろなパターンのテストを繰り返し
長めに様子見をしている状態でしたが
もう最終チェックを残すのみといった状態です。
ご依頼者様の40年以上の思い出が詰まったカメラです。
これからもまだまだ活躍していただければと思います。

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