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ニコンFフォトミックFTNのカメラ修理

今日は1月10日ということで
「110番の日」ですね!
全国で緊急通報用電話番号が「110番」に統一されたのは
1954(昭和29)年からだそうです。
それまでは地域によって少し異なっていたそうですね。
電話番号が110番になった理由としては
覚えやすい番号であること
誤報が少ないように番号は3桁であること
黒電話のストッパーまでの距離が短い「1」を多くしたことがあり
さらに緊急時の消防への電話番号である119番の「9」と同様に
誤報を防ぐためと落ち着くために
最後にダイヤルが一番長い「0」が設定されたと言われています。
どれもダイヤル式の頃の名残ですね。
119番には何度かお世話になったことはありますが
110番は今のところ…いやかなり昔に交通事故を
起こしてしまったときにかけたことあるか…
いずれにしてもいざという時に頼りにはしていますが
あまりお世話になりたくはない番号ですね。
どちらにもお世話にならない平穏な日々が過ごせるように
気を付けていきたいと思います。

さてさて

本日は「ニコンFフォトミックFTN」のカメラ修理を行っています。
ニコンFのボディに露出計内臓の
フォトミックファインダーを組み合わせたもので
「フォトミック」「フォトミックT」「フォトミックTn」
「フォトミックFTn」が存在します。
今回の「FTn」は1968年の発売で
絞りリングを1往復させることで
開放F値補正操作を取り入れたモデルです。
(いわゆるニコンのガチャガチャ)
ファインダー以外のボディ本体に関しては
通常のFボディとなります。

お預かりしている「フォトミックFTn」は
さすがに50年以上の経年劣化や汚れ油切れの影響もあり
高速シャッターの精度は出ておらず
巻上もスムーズさにかけ
スローは粘り気味、露出計は不安定と
全体的に一通りの整備が必要な状態でした。
シャッタースピードの不良は
汚れや油脂が原因の部分もございましたが
過去に安易に幕速だけを弄られた経歴があるらしく
幕が妙に貼り気味でそのせいで
少々スプリングもくたびれ気味という状態でした。
幕軸や調速カム、駆動部の清掃を入念に行った上で
最低限の周瑜を行い
ゼロからテンション調整を繰り返し行い
慎重に精度を確保していきます。
フォトミックファインダーの露出計に関しては
やはり摺動抵抗の劣化もそれなりに進んでおり
できる限りの調整となりましたが
何とか実用上ほぼ問題のない程度には
改善できたような状態です。

開発当初から露出計搭載を
標準的な位置づけにしていたF2フォトミックとは異なり
Fフォトミックはおそらく後からの設計かと思われますが
この頭でっかち感が何ともこの時代らしい無骨さで
これはこれでなかなか魅力的です。
私の祖父が観光地等で比較的手軽に撮るときに
持ち歩いていたのがフォトミックTだったので
このFフォトミック系のデザインには何とも言えず
懐かしさを抱いていしまいます。
画像は一通りの整備が完了した状態のモノで
これから最終的なテストを行い
問題なければ完成となります。

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ペンタックスSVのカメラ修理

今日は「イヤホンの日」だそうですよ。
「イ(1)ヤ(8)ホン」と読む語呂合わせですね。
今では携帯プレイヤーで音楽を聴くのに必須のイヤホンですが
個人的には音楽を聴くのはヘッドフォンのイメージで
イヤホンはお年寄りがテレビやラジオを聴くときに
片耳だけに着ける「モノラルイヤホン」のイメージなんですよねぇ(笑
小学校高学年の頃に「ウォークマン」が登場して
携帯型プレイヤーが一気に身近になりましたが
CD時代になっても耳に着けるのはヘッドフォンだったような気がします。
iPod登場の頃からイヤホン主流になってきたのですかね???
私もiPodを手に入れてからはイヤホンで聴くようになりましたし
今ではスマホがプレイヤーも兼ねていますが
イヤホンもワイヤレスになり非常に便利になりました。
コードがないと煩わしさがなくなって特に外出時には助かります。
でも自宅で聴くときのヘッドフォンや
楽器用のヘッドフォンやいまだにコード付きです…
まぁ自宅だとあまり気にならないですし…
ワイヤレスイヤフォンも今では千差万別で
デザインのカッコ良いものや
非常に音の良いしっかりしたものも多く出てきて
買い換えたい欲が定期的にやってきて困ります(笑

さてさて

本日は「ペンタックスSV」のカメラ修理を行っています。
AP・K・S2・S3と続くアサヒペンタックス系の
M42マウントのカメラです。
S3をベースにセルフタイマーが装備され
フィルムカウンターも自動復元式になり
TTL絵露出計こそその後のSPまで待たなければいけませんが
それ以外の部分に関してはほぼその後の一般的な
一眼レフの機能を一通り装備したカメラで
通常のMF一眼レフに慣れた方なら
初見で普通に使える機能とインタ-フェイスをもったカメラです。
その使いやすさと安定した動作で当時も非常に人気のあったカメラです
今見るとそのレトロな風貌もあいまって
使いやすいM42マウント機としても人気も高いカメラです。

ただSPより前のいわゆるアサヒペンタックス系のカメラは
当時から未整備のままの個体の場合
かなり高い確率でシャッター幕が劣化している場合が多いです。
穴や裂けが出ているものは論外ですが
遮光はできていてもガチガチに硬化して
中には波打った状態で固まっているものも見受けられます。
しなやかさを失った幕はまともに走行できる状態ではなく
かろうじて動作してるものでも精度は期待できない状態になっています。

お預かりしている「SV」も
巻上げてレリーズしてみると
先幕はかろうじスルスルスルっとゆっくり出てきますが
後幕はもう全く出てきません。
引っ張り出して確認してみると
やはりガチガチに硬化していて
全くもってまともに走行できる状態ではありませんでした。
いずれにせよ、幕交換してしっかり調整しないと
まともに写真の撮れない状態です。

本格的な作業はこれからですがまずは
シャッター幕をSV用のサイズに切り出して制作し
幕交換から行っていきます。
SV自体はシンプルな構造で整備性も良いカメラですが
それでも幕交換はそれなりの重作業ですし
幕を張る位置が微妙にずれてしまうと
あとから何を調整しても
シャッターの精度が出なくなるので
慎重に作業を進めていきます。
幕交換をまず行ってシャッターが安定して
動作するようになってからミラー駆動部や
ファインダーの整備清掃も行っていきます。

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オリンパスオートアイ2のカメラ修理

本日から通常営業となります。
本年もよろしくお願い申し上げます。

本日は1/6ということで
語呂合わせで「色の日」ですね。
写真を…それもカラーで撮っていると
やはり色を意識する場面は多いと思います。
そしてたまにモノクロを撮ろうとすると
普段とは全くことなるアプローチで撮らないと
全く面白くも何ともない写真になってしまうことに
驚かされることも多いですね。
逆にモノクロにするだけで妙にカッコよく見える
場面も結構あってモノクロのときには
ついついそんなものばかり撮ってしまいがちですが…(笑
モノクロの話はともかく
写真にしても身の回りのモノにしても
色合いってやはり印象が大きく変わるので大事ですね。
あまり派手派手しいモノばかりなのもいけませんが
やはり色鮮やかなモノは目を引きますし
身の回りのアイテムもちょっと鮮やかなものを
選んでしまいがちになります。
特に寒いこの季節だと暖色系の鮮やかなものに
目を奪われますね
ビタミンカラーで元気出していきましょう!

さてさて

派手な色の話はともかくとして
私の扱うフィルムカメラは当然渋い色合いのものばかりです(笑
本日は「オリンパスオートアイ2」のカメラ修理を行っています。
貼り革にペンEE系と同様のグリーンがかったグレーのモノが使われており
一般的な黒のカメラよりはかなりポップな印象です。
鮮やかではないですがこういう渋いレトロ感もたまりませんね
マニュアル露出も可能ですが基本的には
セレン光電池を使用した露出計と連動して
シャッタースピード優先オートで撮るカメラです。
SSを自分で設定してファインダー内のクルクル回る表示板で
連動して絞り値が表示されるなかなかおもしろいカメラです。
ただ初代オートアイ登場の翌年に
怪物ともいえる「キヤノネット」が登場してしまったため
オートアイはかなり販売的に苦戦を強いられます。
その状況を打破するために1962年にマイナーチェンジされて
発売されたのが今回のオートアイ2です。
レンズを初代より少し明るくワイドに変更し
オートマニュアル切替兼マニュアル時絞りリングは太くなり
使い勝手はそれなりに良好になったものの
大口径という意味ではまだまだキヤノネットに敵わず
一度大きく傾むいてしまった流れを止めることはできず
残念ながらオートアイシリーズは2代で終了になってしまいます。
今見るとオート時の確認用のプレビューボタンがあったり
なかなか使いやすく面白いカメラだと思います。

お預かりているオートアイ2はまずは露出計が全く動きません。
SS優先オートで撮るのが本来の姿であるこのカメラにとっては
致命的なトラブルです。
セレン自体がダメであれば修理不可能となってしまうのですが
セレン近辺で接触不良が起きているパターンも多いので
まずはそのあたりを確認していきます。
シャッター自体は若干粘りがあるものの動作はしている状態です。
ファインダー・レンズには当然ながら
それなりの汚れ曇りカビがありますが
しっかり清掃すれば問題なうい状態になりそうです。

まだ分解し始めの段階です。
まずは何とか露出計を復活させることを優先して
作業に取り掛かっていきます。
ちなみにレンズの周りにもサークルアイ風に
セレンのようなものが見えますが
これは単なるデザインでセレンはボディ側に大きく見えている
通常の配置位置です。
まずはここからいろいろ取り掛かりたいと思います。

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コニカC35のカメラ修理

もう12月27日ともなると
どこも年末進行で記念日すら
ほとんど制定がないですね。
当店も明日で年内営業は最後になります。
このブログも明日は更新ナシの予定なので
今日の更新が年内最後となります。
今年もいろいろありましたが
何とか乗り越えて来年も普通に営業していけそうです。
それもこれもご利用していただいている
お客様あってのことなので心より感謝いたします。
以前(ほぼ4年前)のように
いきなりの体調不良で入院とかがあると
一人でやっている関係上
ご迷惑をかけることにもなってしまいますので
とにかく健康には気をつけて続けていきたいと思います。
来年も引き続きよろしくお願い申し上げます。

さてさて

今日のカメラ修理は「コニカC35」です。
これもコンスタントに修理依頼のあるカメラです。
「じゃーに~コニカ」の愛称で大ヒットしたカメラです。
ハーフカメラと変わらない大きさで
非常に軽量コンパクトにまとめられたカメラです。
愛称の「じゃーに~」は旅行時における携帯に
ぴったりということで名付けられたそうです。
このカメラの大ヒットで各社のレンズ一体型カメラの
小型化が一気に進みました。
露出計連動のプログラムオート専用機です。
こんなに小さいのにしっかり距離計は搭載し
レンジファインダーでピント合わせを行います。
余計な機能は一切ない潔い設計で
露出の過不足があってもシャッターロック等の制御は行わず
できる限りの制御でシャッターが切れる構造になっています。
ある意味、融通が利いて使いやすいのですが
反対に電池がなかったり明らかに写らないような暗さでも
シャッターが切れてしまうので慣れていない場合には
少し注意も必要です。
しっかりファインダー内指針をチェックしておけば
それも大きな問題ではありません。

お預かりしている「C35」は1968年発売の初代モデルです。
まずは露出計が全く動かず
常に絞り開放の1/30で切れてしまうような状態です。
電池室腐食等のトラブルが多いカメラではありますが
今回の「C35」は電池室はキレイでさほど問題があるようには見えません
とはいっても登場から50年経過しているカメラなので
電池室裏のハンダや配線はかなり劣化しており
そのあたりに原因があるものと思われます。
傷んだ配線はすべて交換し露出計本体に
きちんと電圧がかかるようにした上で調整を行っていきます。
使用電池はもともと水銀電池MR44です。
ただMR44は現在のボタン電池「LR(SR)44」とほぼサイズが同じなため
電池室にそのままLR44が収まります。
ただ元々の水銀電池は電圧1.3Vなので
現在の電池(1.5V)だと0.2V電圧が高くなることになり
そのままだと1.5段ほどアンダーに制御されてしまいます。
(露出計指針が振り過ぎるため)
もちろん今回は1.5V電圧での使用を前提に再調整を行っていきます。

あきらかに粘っている…というおどではないですが
やはりシャッター駆動部の動きが悪いようです。
これはC35では定番のトラブルなのでもちろん対処を行っていきます。
他、ファインダー、レンズにそれなりのカビや汚れも見られますので
そのあたりもできる限りの清掃を行っていきます。
小さなボディに効率よくメカニズムが収められていて
非常にまとまりのよいカメラです。
整備性も非常に良好です。
おそらく今年最後の修理がこのカメラになりそうなので
最後まで気を抜かずきっちり仕上げていきたいと思います。
まだ明日もありますが
ブログ更新は今日までなので
皆様もよいお年をお迎えくださいませ。

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オリンパスペンD2のカメラ修理

昨日も書きましたが今日の日没までは
「クリスマス」ですね!
それはそれとして今日は「昭和」改元の日でもあるのですね。
1926(大正15/昭和元)年のこの日に
大正天皇が崩御され、皇太子であった裕仁(ひろひと)親王が
新天皇に即位されました。
これと共に新しい元号「昭和」が制定されています。
ここから60年以上続く「昭和」のスタートだったわけですね。
私の生まれは昭和44年で昭和を生きたのは20年弱
平成は最初から最初から最後まで30年少々過ごしているので
平成を生きたほうが長いのですが
やはり多感な10代を過ごした「昭和」の出来事やモノに
思い入れの強いものが多いですね…
いまだに「平成」と聞くと少し新し気なイメージが…(苦笑)

さてさて

本日は「オリンパスペンD2」のカメラ修理を行っています。
「デラックスなペン」として登場した
ペンシリーズの中でも最上位のシリーズです。
「D2」はその名の通り2代目のペンDとなります。
大口径のF.スイコー32mmF1.9や
5枚羽根のシャッターユニットコパルXに変更はなく
初代ペンDではセレン光電池を使用していた
露出計の受光体がCdSに変更されたモデルです。
それに伴って巻上軸下部には電池室
上カバー背面に露出計SWが追加されています。
対応する当時の電池は水銀電池MR9です。
現在だと形状が同じ625A電池(1.5V)か
電池アダプタ等を利用して使用することができます。
ただ電圧が1.5Vで使用すると振れ過ぎで
アンダー傾向の指示になるので要注意です。
(調整は整備時に可能です)
露出計は初代ペンD同様に非連動で
単独で動作しLV値を表示するタイプです。
SS/絞りリング側にも設定LVが表示される小窓が付いています。
抵抗等にトラブルの起きやすい連動タイプよりも
シンプルで融通も効いて良いかと思います。

お預かりしている「ペンD2」は
その最大のセールスポイントでもある露出計が
非常に不安定で一定の光をあてていても
指針が落ち着かず上下にフラフラとしています。
電池室は比較的キレイで腐食等もないので
配線(特にハンダ部)かSWの接触不良かと思われます。
Dシリーズ自慢の大口径レンズの状態は非常に良く
おそらく長くしまい込まれていたものかと思われますが
保存状態は良かったものと思われます。
ただしシャッター羽根、絞り羽根には若干の粘りがあり
精度的にも問題があるようです。
加えてファインダーは曇り気味で
モルトはさすがに全滅です。
これから問題なく撮影に使うには
やはり一通りの整備が必要な状況です。

まだ取り掛かり始めの段階ですが
これからまずはシャッターユニットの一通りの整備から行います。
そしてレンズ清掃、露出計周りの修理整備と進めていきます。
非常にコンパクトにまとめられたカメラですが
構造自体はシンプルなので整備性は非常に良好です。
いつも思いますが非常にうまく考えられて造られているカメラです。

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オリンパスOM-1Nのカメラ修理

今日と明日はさすがに記念日の制定は少ないですね。
でもそんな中でも今日は
「ゆめぴりかの日」だったり
「ブルボン・プチの日」だったりします。
「ゆめぴりか」はたまに買いますし
「ブルボン・プチシリーズ」はついつい
買い物かごに入れてしまいますね(笑)
「うす焼き」や「えびせん」が多いかな…
で、今夜は「クリスマス・イヴ」ですね。
「eve」は「夜・晩」を意味する古語「even」から来たもので
「クリスマスの夜」という意味になります。
キリスト教会暦では日没が一日の始まりであり
クリスマスは24日の日没から25日の日没までとなるので
その間の夜である24日の夜のことを「クリスマス・イヴ」と呼ぶのですね。
日本では「クリスマス(12月25日)の前夜」と認識されることが多いですが
正しくはその言葉通り「クリスマス当日の夜」となり
「クリスマス・イヴ」は既に「クリスマス」に含まれているのだそうです。
ということで、今日の日没からクリスマスのスタートです!
皆さま、良い夜を!

さてさて

今日は「オリンパスOM-1N」のカメラ修理を行っています。
1972年に「M-1」が登場し翌年に「OM-1」に改名され
さらに1979年に登場した改良版が「OM-1N」となります。
機能的には専用シューとフラッシュ使用時に
フラッシュ充電完了確認ができるようになったくらいで
他の機能には変更ありません。
内部の構造も基本的な部分はほぼ変更はありませんが
「N」でない「OM-1」の中期あたりから
細かい部分に関してはかなりの数の改良や部品変更が行われています。
内部的に「1N」で特徴的なのは露出計電源SWの構造変更ですが
これも「1」の後期には同様に変更されていたりします。
他、ファインダースクリーン及びプリズム枠の形状変更だったり
露出計のアース方法の変更等も行われています。
電源SWもそうなのですが変更された部分は
旧モデルで確かにトラブルの多い部分なのですね。
でも「1N」になってもその変更された部分で
意外にトラブルが多かったりします(苦笑)
特に電源SW部と露出計アース部です。
なかなかこういう部分の改善は難しいのでしょうね…

お預かりしている「1N」も電源SW部に問題を抱えていて
露出計オン時に頻繁に指針が不安定になり
上下に激しく踊りだしてしまいます。
「1」でも「1N」でもこういう症状の原因の多くは
電源SW部の接触不良が原因です。
接点で接触不良が起こるのは経年変化もあって
致し方ない部分でもありますので
やはり定期的にメンテンナスが必要ということだと思います。
加えてこれも経年的に仕方ないのですが
幕軸の動きがイマイチ悪いようで
先幕・後幕のバランスが崩れていて
高速シャッターで精度不良が出てしまっています。
そしてこれも経年劣化と言えますが
プリズムの腐食です。
これはプリズムそのものの蒸着の劣化というよりも
プリズム接眼部に貼ってあるモルトプレーンの加水分解が原因で
モルトが加水分解して変質することがプリズムの蒸着にも
影響し蒸着を剥離してしまいます。
プリズムは中古良品と交換で対処して
他は一通りの清掃整備の上で調整を行っていきます。

電源SWの構造が変更されているので
それに伴って露出計回路の形状も変更されています。
もちろん回路構造自体はほとんど変わってはいないので
難しいものではありません。
メーターアース部分にトラブルが多いのは
「1」も「1N」も変更されても同様ですが
アース部のメンテは「1N」のほうが少々面倒な位置になりました。
シャッターやミラー、巻上等の機械的駆動部は
部品の材質等に変更はあるものの構造に変更はありません。
依頼数の非常に多いカメラなので
内部も見慣れた風景ではありますが
小さく軽量に造られているが故の繊細さがあるカメラなので
集中して細心の注意を払って作業に取り掛かります。

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オリンパスペンEE-2のカメラ修理

今日は「テレホンカードの日」だそうですよ。
1982(昭和57)年のこの日に
日本電信電話公社(電電公社、現:NTT)により
東京・数寄屋橋公園に磁気テレホンカード対応の
公衆電話の1号機が設置されたことに由来しています。
また、同月にテレホンカードが同社により発行・発売が開始されています。
懐かしいですねぇ…テレフォンカード…
いろいろな図柄のモノが発売されているので
ちょっと珍しいものはオークション等でそれなりの値段で
売られていたりもします。
テレフォンカード登場の10年前には
100円硬貨の利用できる黄色の公衆電話機が設置され始めていて
これが近所の電話ボックスにあったので馴染み深いかな…
ただ、この100円対応の公衆電話、おつりは出ないのですね。
だから中学生の頃、10円玉1枚と100円玉1枚握りしめて
この公衆電話によく電話を掛けにいってました(笑
もちろん家で話しにくいことも話せるから公衆電話使うのですが
相手方の本人が出れなくて電話がすぐに終わった場合を想定して
まず10円玉でかけるのですね。
そして本人が出て長く話せそうだったら100円投入!
電話1本になかなか苦労してましたねぇ(笑)楽しかったですが…

さてさて

本日は「オリンパスペンEE-2」のカメラ修理を行っています。
フルマニュアルの無印ペンやペンS、ペンDも
人気が高く修理依頼も多いですが
やはりペンといえばEEシリーズが一番人気ですね。
小さく気軽に持ち歩けるハーフカメラだからこそ
より気軽に簡単に撮影できるほうが良い…という考えもあると思われます。
「ペンEEシリーズ」はセレン光電池使用の露出計を搭載し
連動してプログラムオートで露出を制御します。
ピントは2.5mの固定焦点です。
昨日のブログのオートハーフのように自動巻上まではありませんが
それでもフィルム装填して巻き上げたら
あとは構えてレリーズするだけの簡単操作です。
今回の「EE-2」は1968年発売の「EE」としては2代目のモデルで
初代EEと比べるとホットシューが追加になり
フィルムカウンターは自動復元式、
裏ブタは取り外し式から丁番式に変更されています。
基本的スペックはそのままによる使い勝手の良さが進化しています。

お預かりしている「ペンEE-2」は
ご依頼者様が入手されてから既に10年以上使い続けられているものです。
動き自体はそれほど悪くないと思われますが
露出が不安定な気がすることと光漏れが起こることがあるとのことで
点検整備一式でお預かりしています。

セレン光電池の状態は非常に良く
光の強さに応じてしっかり起電します。
ただし露出計の動きが少し悪い部分があることと
指針挟み込み部分との干渉部に少々問題があり
ここが光の強さの場合によっては
露出計挙動不安定の原因になっているのかと思われます。
詳しく書くと非常に長くなるので割愛しますが
構造上、多少は出るものと思われますができる限りの調整で対処します。
加えて精度的にも多少ズレがあるのでそこも調整を行います。
モルトは劣化までには達してはいませんが
さすがにかなりくたびれている状態で
交換には良いタイミングかと思われます。
あまりこの状態で使い続けると光線漏れの頻度は上がるでしょうし
今度は劣化が始まって余計なトラブルを招く可能性もでてきます。
モルトを使用しているカメラは
やはりより定期的に点検交換が必要です。
他、レンズ、ファインダー清掃等も含め一通りの整備を行います。

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リコーオートハーフSのカメラ修理

今日は「冬至」ですね。
二十四節気のひとつでもあります。
北半球では太陽の南中高度が最も低くなる日で
そのため、一年中で最も昼(日の出から日没まで)が短くなり
夜が最も長くなります。季節の変わり目であり
寒さがますます厳しくなる時期でもありますね。
でも実際に寒さが最も厳しいのは冬至から1ヶ月後あたりでしょうか…
夏も夏至から1ヶ月後あたりが一番暑い時期ですものね。
冬至がくるといよいよ年末が近いと実感します。
この日に柚子湯(ゆずゆ)に入り
カボチャを食べると風邪を引かないと言われています。
柚子湯もいいですがこの日は冬至に関連して
「酒風呂の日」でもあるのです。
日本酒をお風呂に入れる「酒風呂」は
体がよく温まる、お肌がつるつるになる、リラックスできる、
ぐっすり眠れるなどの効果があると言われています。
実は試したことあるのですが…まぁ香りは楽しめました(笑
でも日本酒はやはり飲むほうがいいですね!
寒くなってくると熱燗でいただくのがたまりませんね
冷酒や常温より燗に向いているお酒を最近入手しているので
今夜もきっちり温度を測って55℃あたりで
いただきたいと思います!

さてさて

本日は「リコーオートハーフS」のカメラ修理を行っています。
1965年発売のハーフカメラです。
モデル名の「S」はセルフタイマーの頭文字で
その名の通りセルフタイマーが装備されています。
そしてそれに伴って構造の大幅な変更が行われ
このモデルからレリーズボタンがボディ上部に移設され
これ以降のオートハーフは全てレリーズボタンは
ボディ上部に配置されます。
いわゆるよく見る「オートハーフの形」は
このモデルからということですね。
基本的なコンセプトは初代から変わらず
タバコ箱サイズを目標に開発され(実際は少しタバコよりは大きいですが)
誰でも簡単に撮影できるようにできる限りの自動化を
推し進めたカメラです。
自動化と言っても80年代以降のように電子制御があるわけではないので
全て機械的な自動化です。
露出計はセレン光電池で駆動し
指針に連動させて露出を自動設定します。
ピントは2.5mの固定焦点で被写界深度でパンフォーカスとして撮影します。
そしてオートハーフと言えばゼンマイ仕掛けの自動巻上ですね。
これらの機能のおかげでフィルムさせ装填してしまえば
あとは構えてレリーズボタンを押すだけです。

お預かりしている「オートハーフS」は
巻上周りにいくつかの問題を抱えています。
まず自慢の自動巻上が1枚分で止まらずに2コマ分進んでしまいます。
それ以外にも巻上が上手く動かないことが頻繁に起こります。
さらに巻き戻し側のクランクのギアもおかしいようで
空転してしまうようです。
それ以外にも細かいトラブルをいろいろ抱えており
とても現状では撮影に使えない状態です。
巻上ゼンマイ自体にトラブルを抱えていて
交換が必要になる個体とか
セレンが劣化していてこちらも交換が必要となる個体も割と多いのですが
今回はそこまでではないことが不幸中の幸いです、

いつ見てもコロンと四角い独特のフォルムが何とも魅力的です。
画像は既に一通りの整備が終わった状態のもので
巻上も快調に動作し当然キチンと一コマで止まります。
トラブルの原因は巻上ユニットのみならず
レリーズ機構の動作不良も関連していました。
露出計及びオート制御の精度も問題なく
全体的に非常にスムーズに動作するようになりました。
大きさの割にズッシリしていることもあって
丈夫に見られることも多いかと思いますが
オートハーフは非常に繊細なカメラです。
レンズシャッター機はもともと小さなバネの力で
シャッターを駆動しますが
オートハーフのシャッターは非常に小さな2枚羽根を
ほんのわずかなバネの力で駆動します。
そのためわずかな汚れや油分で簡単に粘ったり固着してしまいます。
それでもシャッター駆動部や
他の機械部分にはわずかながら油分も必要なので
そのあたりの整備に非常に神経を使うカメラでもあります。
構造自体はシンプルによく考えられて造られていますが
なかなか奥の深いカメラです。

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ニコンF2フォトミックのカメラ修理

これといった記念日がない日ですねぇ…
…というわけで過去の12/21の出来事を調べてみると…
1971年12月21日に首都高3号線が全線開通し
首都高速と東名高速が接続されるようになりました。
もう50年以上前なのですねぇ
私は今はクルマ持っていないので
それほど高速道路に縁はありませんが
C1及び3号線や4号線はやはりよく通りました。
東名や中央道に連絡しますものね。
首都高は既に完成から50年以上経つ古い中心部分と
その周辺にできた新しい部分も混ざり合って
非常に複雑になっています。
私も慣れるまで随分かかりましたが
今でもたまに通るとどこで分岐するのだったかわからなくなります。
特に郊外に繋がる路線は次々と新しくなっていくので
ある程度頻繁に通ってないとわからなくなりますね!
首都高でも中心部でもないですが少し前に
横浜青葉インターを通ることがあって
ちょっと見ない間にあんなに複雑になっていてびっくりしました。
でも横浜方面へのアクセスは非常に便利になったのですよねぇ
いつも渋滞なのは困りますが慣れてくると
首都高の複雑さも何だか楽しくなってくるのですよねぇ
都内やその周辺部、どこにでも繋がります。
素人考えですがあとは首都高から関越へ
直接繋がればもっと便利なような気もしますが…

さてさて

本日は「ニコンF2フォトミック」のカメラ修理を行っています。
ここ最近、F2フォトミック系の修理は多いですね。
やはり露出計の不調が多かったりしますが
本体側も50年超え選手なので
機械的な動作不良を抱えている個体が多いです。
当店ではLED式露出計を搭載するフォトミックS系は
修理不可な場合もかなり多く
お断りせざるを得ないこともよくあるのですが
指針式の無印フォトミックやフォトミックAであれば
それでも場合によりますが大抵の場合は修理可能です。
(酷い分解品やショック品・水没品は除きます)
そんな背景もありここで登場するF2フォトミックは
最初にアイレベルと同時発売された
ノーマルなフォトミックが圧倒的に多くなっています。
後に出るAi対応のフォトミックAも良いですが
ファインダー内表示の見やすい無印フォトミックが良いですね。
ただレンズ装着時のガチャガチャは忘れないようにしないといけません。

お預かりしている「F2フォトミック」は
いくつか問題を抱えてしまっています。
F2で露出計関連と言えばフォトミックファインダー側よりも
ボディ側の電池室に問題があることが多いのですが
今回のF2はそこには大きな問題はないようです。
ただし、電池を入れて露出計の動作確認をしてみると
露出計の指針がやたらと不安定で安定しません。
ボディ側SW部の問題も疑いましたが
そこはそれほど問題はなくどうやらフォトミックファインダー側の
摺動抵抗に問題がありそうです。
抵抗そのものに問題があると修理不可能の可能性もでてくるのですが
Fフォトミックの時代と異なりF2フォトミックの場合は
抵抗体も丈夫なのでおそらく単純に抵抗体への
汚れの付着等が原因かと思われます。
ただ実際に確認してみないと判断できないですし
かなり気になるので今回はボディよりも先に
ファインダー側の整備から取り掛かります。

ボディ側はボディ側で
シャッタ幕軸に汚れがたまっている模様で
先幕の後幕の幕速バランスはかなり崩れていて
先幕の動きがかなり悪い状態です。
当然ながら高速シャッターの精度は出ておらず
1/2000に関しては全く開かない状態です。
まずはファインダー側の問題をクリアしてから
ボディ側の整備に取り掛かっていきます。

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ミノルタX-700のカメラ修理

今日は「ブリの日」だそうですよ。
日付の由来は12月(師走)は「鰤」(ブリ)が
魚へんに「師」と書くことからで
20日は「ぶ(2)り(輪=0)」と読む語呂合わせからだそうです。
刺身、たたき、ブリしゃぶ、味噌漬け、照り焼き、塩焼き、ぶり大根
ブリを美味しく食べる料理はたくさんありますよね!
実は私の昨晩の酒の肴もブリの刺身でした。
もう最近はあまり脂の乗った刺身はあまり食べられないのですが
ブリのお刺身はたまに無性に食べたくなるのですよねぇ
といってもほんの少しで良いのですが…
「ブリ」の語源については諸説あり
脂の多い魚なので「あぶら」の「ぶら」が転じたという説や
古くは火にあぶって食べたので
「あぶり」が略されて「ぶり」になったという説などがあるそうです。
そして出世魚としてもよく知られていますね。
関東ではワカシ→イナダ→ワラサ→ブリ
関西ではツバス→ハマチ→メジロ→ブリなどの順で呼ばれます。
こんなこと書いてたら今度はシンプルな塩焼か
ブリ大根でいただきたくなってきました…(笑

さてさて

本日は「ミノルタX-700」のカメラ修理を行っています。
1981年発売のカメラです。
スペックとしては中級機にあたりますが
登場以降、長らくミノルタのMF一眼レフの頂点に
君臨したカメラです。
新設計のフレームとミノルタならではの
ユニット構造の横走りシャッターユニットを組み合わせる構造です。
ミノルタでは昔から節目節目で試行錯誤してきた構造ですが
他社モデルで同様の構造を見ることはありません。
それに過去のトップモデルほどではないものの
ミノルタらしい感触の良い巻上と
ミノルタらしい明るくキレの良いファインダーが組み合わされます。
総合的にミノルタらしい非常に使い心地の良いカメラにまとめられています。
オートフォーカス機の「αシリーズ」登場後も
生産が続けられ1999年まで発売が継続され
18年もの間、存在し続けたカメラです。
ここまでのロングセラー機になるということは
それだけ基本設計も含めて優れたカメラの証であるとも思います。
現存している個体数も多いのですが
長期間発売されていたこともありその程度は様々です。
電子制御とはいえ完成度は高く
電子部品関連のトラブルは少ないほうではありますが
やはりシャッター制御のできない個体は修理不可能の場合も多いです。

お預かりしている「X-700」は
しばらくの間、使われずにしまい込まれていたものかと思われます。
モルトはとにかく全滅で粉状にボロボロになってしまっています。
それがファインダー内にも入り込み
ファインダーを覗くとモルト屑だらけです。
ファインダー内はまだ良いのですがこれが駆動部に入り込むと
トラブルの原因にもなってしまいます。
シャッターは一通り動作しており、オート制御もできてはいるのですが
シャッタースピードの精度には少々問題有りです。
マニュアルで設定するとダイヤル設定で一通り変化もするのですが
全体的にSSが開き過ぎで1/1000設定でも1/400くらい露光してしまいます。
よくあるパターンとしては幕軸の動きが悪くて
後幕の幕速が遅く視野の後半で開き気味という場合が多いですが
今回は幕速のバランスは問題なく露光ムラはありません。
幕速自体も遅いわけではありません。
制御が全体的にSS遅めになっているという感じです。
電気的な問題なのかマグネットの吸着に問題があるのかと思われます。
これ以上はこれから詳しく分解しながら確認していかないとわかりません。

まだ取り掛かり始めですが
ユニット構造の横走りシャッターの全貌が確認できるところまで
これから分解していきます。
まずはマグネットの清掃と確認から行っていきます。
並行して機械駆動部の整備も一通り行っていきます。
制御していないわけではないので原因は何であれ
しっかり改善はできるかと思います。

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