月別アーカイブ: 2020年11月

ヤシカエレクトロ35CCのカメラ修理

今日は「いい家の日」だそうですよ。
「いい(11)いえ(18)」(いい家)と
読む語呂合わせからだそうですが
ちょいと無理があるのでは?(笑)
私はもうおそらく一生アパート暮らしが確定ですが
一人暮らし歴もいつのまにか30年をゆうに超えてきました。。。
広島でも東京でも神奈川でも
思い起こせばいろんな場所の色んな部屋に住みました。。。
それも馴染んでくればどこだって
「住めば都」という感じですが
そうですねぇ、一番思い出深いのは
呉市の天応駅から徒歩1分のところに住んでいた頃かな。。。
二十歳過ぎの一番元気良い頃だったし。。。
二間+広いダイニングキッチンで一人には十分すぎる広さだったけど
歩いて1分の駅は朝夕のラッシュ時以外は無人駅だし
そもそも朝夕でも1時間に3本くらいしか電車ないし
近くにコンビニもスーパーもないし。。。
(自販機すらない!クルマは必需品)
その広いアパートも古くってぼろぼろで
エアコンすらなかったし
(2階で海も近いので風通しは良かったけど夏は辛かったなぁ)
ムカデやら巨大なクモやら色んな虫が出るし(笑)
トイレは今や絶滅危惧種の汲み取り式だったし(汗)
でも夕涼みに歩いて海辺まで散歩できるのは楽しかったし
駅方面に見晴らしの良い窓辺は妙に居心地が良かったし
苦労も多く不便だったけど今考えると楽しかった気がします。
今は。。。無理だな。。。そんなところ(苦笑)
もう徒歩5分圏内で生活が完結しないところには
適応できない身体になってしまいました(汗)

さてさて

本日はヤシカエレクトロ35CCのカメラ修理を行っています。
エレクトロ35にもいろいろなモデルがありますが
シリーズ中唯一の35mm広角レンズ搭載機です。
それもさすが「ろうそく1本の光で写る」ことを目指した
エレクトロ35らしく搭載される35mmレンズは
F1.8の大口径レンズです。
いつも思うのですがこのカメラにバルブがあれば
夜景撮影とかでも使ってみたいと思うのですが。。。。
残念ながらCCにはバルブがないのです。
絞りの形状も2枚羽絞りで変わった形なので
ボケ味を味わうような大口径レンズではありません。
それでも光の少ない撮影で威力をいかんなく発揮する
F1.8レンズは非常に魅力的です。
また、広角レンズを搭載したこの類のカメラは
目測機となることが多いのですが
CCはしっかりレンジファインダーを装備します。
やはり広角なので少し倍率は低く
45mm搭載のエレクトロに比べると少し二重像は見づらいですが
慣れてしまえばそう問題もなく使えると思います。
エレクトロ35に搭載されるレンズはどれも高評価ですが
CCの35mmももちろん写りの評価の高いレンズです。

お預かりしているエレクトロ35CCは
まず電源が入りません。
電池を入れてもバッテリーチェックすら点灯しません。
全速電子制御シャッタのカメラなので
もちろんこの状態ではシャッターは
見かけ上は切れていますが制御されていない状態です。
まずは電池室をチェックしてみますが
電池室蓋側は問題なく非常にキレイなのですが
マイナス側をのぞき込んでみると
端子に緑青が噴いているのが見えます。
溶剤を付けたペーパーを棒に巻いて端子を拭いてみると
ペーパーはそれは鮮やかな青に染まりました(汗)
「これは裏側も悲惨だな。。」と思い
カバーを外し電池室裏も確認すると
予想通り緑青だらけで当然リード線も朽ちてしまっていました。
配線ごと交換が必要です。

レンズもファインダーもカビだらけで
とてもそのままでは本来の性能を発揮できない状態です。
電池入れっぱなしでかなり長い間
放置されていたものと思われます。
それでもこのくらいの状態なら何とか問題ないレベルに
復活させることができそうです。
整備後はレンズも問題なくクリアになり
ファインダーは若干のカビ跡は残りましたが
普通に見れば十分クリアな状態になりました。
シャッター及びオート制御も精度も含め
問題なく動作するようになりました。

適度にコンパクトなボディに大口径広角レンズ
絞り優先オート搭載
こうしてみると非常に魅力的な1台だと思います。
ご依頼様にも早くお楽しみいただければと思います。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

キヤンンAV-1のカメラ修理

今日は「録音文化の日」だそうですよ。
そういわれてみれば
小学4年生あたりから中学生・高校生にかけては
録音することに手間と時間をかけてましたねぇ(笑)
最初は家にあったラジカセの内蔵マイクで
テレビの「ベストテン」や「トップテン」で歌っている
アイドルの歌を録音することから始まり
そのうちじいさんの協力もあって
イヤホン端子にコードを繋いでラインインで録音できるようになり
「じいちゃん、ばあちゃん、
今から録音するけん、静かにしちょいて!」って言わなくてよくなり(笑)
そのうちFM放送エアチェックで安定した音質と
フルコーラスで録れるようになり
高校生になるころには「レンタルレコード」なんて
画期的な音源入手方法が出現し
ダビングも楽になったことで一気に世界がひろがりました(笑)
今から考えるとなんて面倒くさい。。。(笑)
でも今でもたまにレコード買いますが
レコードからパソコン経由でiPODに落とすには
未だに当時と変わらない手間がかかるのですよねぇ。。。
まぁ、歌詞カードやジャケット見ながら
そういう時間と手間をかけるのも楽しいのですが。。。
そういえば、昔は録音することを「吹き込む」って言ってましたよね(笑)

さてさて

今日は「キヤノンAV-1」のカメラ修理を行っています。
キヤノンはマルチモード機であるA-1が発売されるまでは
自動露出はシャッタースピード優先派で
絞り優先AEには全く目もくれていなかったのですが
海外市場では絞り優先AE専用のエントリー機の人気が高く
キヤノンUSAの強い要望で作られたのが
このAV-1ともいわれています。
もちろんベースはAE-1で
AE-1は基本的にはシャッター優先AE機とはいえ
マニュアル露出も可能な仕様でしたが
AV-1は絞り優先AE専用のカメラです。
そのかわり徹底的にコストも絞り込んで
ライバル機に負けないお求めやすい価格を実現しました。
組み合わせるレンズもAV-1用に廉価な
50mmF2も用意されました。
ちなみにこのAV-1が出たタイミングで
従来のFDレンズからNewFDレンズ群へとモデルチェンジされています。

お預かりしているAV-1は露出計がほぼ動きません。
「ほぼ」というのはいろいろ弄っていると
たまに反応するのです。
電源が根本的に入らないわけではなく
シャッターは一応切れます
AV-1は全速電子制御シャッターなので
電池を入れて電源がちゃんと入らないとシャッターすら切れません。
ただし露出計が動作しないので「Auto」モードだと
常に最長2秒でシャッターが動作してしまいます。
このAV-1はご依頼者様のお父様が使っていたものだそうですが
それをご依頼者様が引き継いで露出計は動かないので
フラッシュ用の1/60固定で露出計も使わず
とりあえず1本撮り切って何とか写っていたそうです。
いくら最近のフィルムと現像技術は進んでいるとはいえ
なかなかの猛者ですね
。。。とはいえ、現実的に不安なく使える状態ではありません。
定番のシャッター鳴きもたまに発生しているようです。

機械的な部分はやはり基本的にAE-1です。
ただコストを削れる部分はやはるいとことん削っている印象です。
ちょっと変わっているのは表皮はいわゆるビニックスレザーではなく
分厚いゴムの板です。言われなければゴムだとわからないのは
さすがキヤノンという感じです。
ただ、絞り優先AE機なのだからレンズ側では
オート(SS優先時に主に使う)ポジションには入らないように
何か一工夫あってもよいのではないかと個人的には思います。
露出計不動の原因は接点の汚れや配線の劣化が
複合的に絡んでいるようです。
電池室から基板へのリード線やハンダ付けをやりなおし
レリーズ部接点を念入りに清掃すると露出計は操作するようになりました。
もちろんミラー駆動部や幕軸の清掃等々、一通りの整備を行います。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

オリンパスOM-1のカメラ修理

今日は「七五三」ですね。
数えで5歳の時の七五三は良く覚えてるな
川尻のお寺で
ちゃんと豪華な和服着せられて
紅まで塗られて写真撮ってもらったな(笑)
もちろんその写真が残っているから
そのときのことをなかなか忘れないのですよねぇ
私自身の写真は私としては結構どうでもよいのですが
オフショットに写っている今は亡きじいさんばあさんの
笑顔を見ていると何とも切ない気分になりますねぇ
今日は七五三絡みで他にも「きものの日」、「こんぶの日」
「かまぼこの日」なんてものがありますね
和服を着る機会なんてさすがにないのですが
ちゃんとしたものを少しは持っていたいなぁ。。。とも思います。
着流しなら普段から気軽に着られるでしょうし
たまに羽織と袴できちんと着ても楽しいでしょうねぇ~
(それを着てどこに行く?誰に見せる?というのは
とりあえず置いといて。。。(苦笑))

さてさて

本日は「オリンパスOM-1」のカメラ修理を行っています。
毎月コンスタントに整備修理依頼のあるOM-1ですが
今月はこれが1台目ですね。
1972年発売のOM-1(最初の10ヶ月ほどはM-1)ですが
生産時期によって大きく何種類かに分けられます。
今回のOM-1はブラック塗装なのですが
ちょっとめずらしいなと思ったのが
フィルム室にスタッドが4本あり、それに伴って
フィルム圧版も短いごく初期のモデルなのですね。
この時期のものでブラックはあまり見ないのではないかと思います。
黒が多いのはMD対応後のものではないですかね
マウントネジこそ+ネジですが
巻上レバーもM-1タイプのもので
露出計周りの配線や
プリズム留めが4本バネなのもM-1と同一です。
あ、接眼レンズ部の深さが浅いのも初期モデルの特徴ですね。
この時期のOM-1(M-1)はプリズムや露出計本体や
基板が乗っている一体型の樹脂台座が
非常に脆くなっていることが多く
酷いものになるとそこに締められているいるネジを緩めただけで
パキッと樹脂が割れてグズグズに崩れてしまうことがあります。
今回はそんなにひどい状態ではありませんでしたが
何にしても慎重な作業が求められます。

現在、抱えているトラブルは
まずは定番のプリズム腐食なのですが
腐食の原因となるモルトは既に除去されていて
腐食部分の蒸着はキレイに剥離され
そこにアルミ箔を巻いている状態です。
その効果は悪くなくファインダーをぱっとのぞいた感じでは
腐食跡に気づかないほどです。
私はさすがにそういうのも日常茶飯事的に見慣れているので
すぐに気づきましたが見慣れていない人だと
案外気づかないかもしれません、
それほどキレイに処置がしてあります。
しかしながらその剥離部分ではピントもろくに合いませんし
やはり気が付くと写った像は微妙に歪んでしまっています。
もちろん今回はプリズム交換で対処します。

加えて。。。というかこちらのほうが問題で
このOM-1、巻上が全くできません。
シャッター幕を見るとリリース位置なので
シャッターが切れないのではなく巻上ができなくなっているようです。
原因はこれもOMでは定番ですが
底部三連ギアの一部に使われている
ゴムブッシュが摩耗変形して
ギアのタイミングが狂ってしまい
巻上ができなくなる。。。というものです。
タイミングの調整とブッシュの交換で対応します。

シャッタスピードはやはり高速時の精度がいまいちで
これは幕軸の動作不良が大きく起因していると思われるので
通常の整備の上での調整で対応します。
露出計はとりあえずは動いていたのですが
電池室裏のリード線をピンセットで軽く揺すってみると
簡単にハンダ付けから外れてしまいました。
ハンダの劣化だけかもしれませんが
配線腐食の多い部分なのでここはSW部までの
リード線を丸ごと交換します。

。。。という感じでやることがはっきりしたところで
一気に分解して一気に作業していきます。
やり慣れた作業ではあるので
交換部品や内容が決まって作業に入ると比較的早いです。
ただし、先程も書きましたが脆い部分も多いので
あくまで手早く慎重に且つ丁寧に。。。ですね。
まぁOMに限った話ではなく
すべての整備・修理もそうですが。。。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

ミノルタオートコードのカメラ修理

今日は「アンチエイジングの日」だそうですよ。
。。。とはいえ。。。
老化を止めることは不可能だし
相当な手間とコストをかけて
少し遅らせることができるかどうかみたいなレベルですよねぇ
もともとの体質の問題のほうが大きそうですし。。
まぁ、いつまでも暴飲暴食していると
そりゃロクなことにならないのはわかっているので
できる範囲で節制していきます。
私が個人的に思っているだけですが
人間の身体の使用期限って
元々50年程度のものだと思うのですよね
それを医学の進歩である意味、無理矢理延ばしているのだから
そりゃいろいろなところに問題が発生して当たり前です
あまり大きな問題を抱えて
だらだらと生き続けるのはかなり辛そうなので
できるだけ生きている間は五体満足な状態でいたいものです。
今もあまり五体満足とは言えない状況なので
なおさらそんなことを考えてしまいます。
まぁ、今のうちに美味いものを食べて
美味い酒を飲んでおこうかな。。。(笑)
あ、もちろん行き過ぎない適度な量で。。。

さてさて

本日は「ミノルタオートコード」のカメラ修理を行っています。
オートコードは1955年の発売開始なので
私よりも随分年上ですねぇ
このあたりの比較的シンプルな機械は
メンテナンス次第で人間なんかよりずっと長生きしそうですねぇ(苦笑)
でもそこは量産品ということで
なかなか手厚くメンテナンスされ続けている個体というのは
非常に珍しいと思います。
十年に一度、正しくメンテナンスを行っていると
おそらく50年後にはかなり異なる状態ではないかと思います。
。。。とはいえ
今回、お預かりしているオートコードは比較的悪くない状態だと思います。
確かに何十年も整備はされていないと思われますが
比較的、保存状態がよかったのか致命的なトラブルはありません。
オートコード(特に前期)だとテイクレンズのコーティングが
傷んでまともに写りそうにないものも多いのです。
今回も前玉ユニット最後部面にコーティングの傷みによる
クモリ・シミが少々見られますが
撮影への影響はほぼないレベルかと思われます。
それ以外に若干のカビが見られますが
これは清掃でしっかり落とせそうです。
巻上に少々問題があるようで
たまにクランクによけいなロックがかかり
回せなくなることがあるようです。
ロック機構の動作不良かと思われます。
シャッター羽根、絞り羽根にはやはり少々粘りがあるようです。
これはレンズシャッター機の宿命ですね。
ファインダーはかなり汚れていて
預かり時の状態ではかなり見えにくく
ピント合わせも快適にできない状態でした。
スクリーン部は洗浄・清掃で見違えるほどキレイになり
ミラーはやはり劣化が非道の出考案で対処します。

そんな感じで一通り整備が完了したお姿がこちらです。
国産最高峰の二眼レフと言われる貫禄も感じられるような気がします。
何にしても50年代の二眼レフはオートコードに限りませんが
高級感にあふれた質感のものが多いですね。
オートコードに関して言えば質感はもちろん
部品ひとつひとつから造り・構造まで
非常に妥協の少ない高級品だと思います。
ところで、このオートコード前期モデルなので
シャッターはシチズンMXVで最高速は1/400なのですが
ボディ上に「Citizen MXV」の文字はなく
「Optiper MXS」と記載されています。
どうやら輸出品だとこう記載されているのだそうです。
それから前期モデルなのに
ファインダーフード部に「CHIYOKO」の銘板がないですね。
もしかしたらフード部だけ
後期のものに替えられているのかもしれません
細かいところはともかく
ひじょうに快適に操作できる状態になり
キレイな写真も撮りつつ撮影を楽しんでいただけると思います。
もう少し様子見で時間をおいてから最終チェックで完成となります。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

ニコンFEのカメラ修理

今日は「うるしの日」だそうですよ。
うるし塗りの食器って温かみがあって良いですよねぇ
お安いものから高級なものまでいろいろなものがありますが
昔、実家に本格的な輪島塗があったのですが
やはりそれなりに高級な漆塗りの食器は使うのが
恐れ多いほど美しいです。
今は自炊することもずいぶん減ったから
(何せ時間が足りない)
食器類もいい加減だし
何なら鍋からそのまま食べるほうが多いのですが。。。
(ほら、取っ手が取れてそのまま食器っぽく使えるヤツとか)
実家から引き継いだそれなりの食器が
実は奥底に眠っているのですよねぇ。。。
確か輪島塗もあったぞ。。。
たまにはきちんとした食器で
きちんとした食事を優雅に味わいたいものですねぇ
そういえば今は亡き、うちのばあさんは
「うるしの木の下を通っただけでもかぶれる」体質で
漆塗りの食器も避けていたなぁ。。。
しっかり硬化した漆器であれば漆塗りの食器で
かぶれることはまずないとは思うのだけど。。。
私は全然平気な体質でウルシの木も普通に触ってたなぁ
そういえば私の生まれ育った地域では
ヤマウルシやハゼノキのことを「カブレノキ」(かぶれるから)と
呼んでました。。。(苦笑)
どちらもこの時期の山では紅葉して
山の美しさを引き立ててくれる木ですね。

さてさて

本日は「ニコンFE」のカメラ修理を行っています。
FEもコンスタントに修理来のあるカメラです。
当店の場合はFやF2よりもFEのほうが多く
ニコマートとか多いですが
FEがニコン機の中で最も多く依頼の入るカメラです。
電子制御シャッター機ということで
敬遠されがちな部分もあるとは思いますが
起こるトラブルのほとんどは機械的なものです。
確かにまれに電子制御部分のトラブルを抱えているものもあり
それでも直る場合もあるのですが
中には修理不能なものもっございます。
でもその確率はかなり低いものと思っています。
前身のニコマートEL系に比べると
オリンパスOM系ほどではないですが随分コンパクトになり
取り回しも良くなりました。
EL時代から評価の高かった追伸式の露出計は受け継がれ
FEになってからさらに使いやすくなりました。
電子制御シャッター機なので当然、絞り優先AEも搭載します。
私は個人的には普段マニュアルで撮ることがほとんどなのですが
それでも絞り優先AEがあると便利な場面はたくさんあり
全体の撮影の1/4くらいはオートも使います。
取り回しの良さと使いやすさでいうと
かなりお勧めの1台です。

お預かりのFEは巻上が全くできません。
シャッター羽根の位置関係から判断すると
シャッターはリリーズ状態です。
。。。ということはシャッターは切れたのに
巻上ロック機構が固着して解除されない可能性が高いと思われます。
実はFE/FM系で比較定期多いトラブルです。
巻上ロック機構を強制的に解除してやれば
とりあえずは巻き上げられるようになります。
でもそれだけではまたロックするのが関の山なので
巻上機構部を入念に清掃し注油を行います。
FE/FMは巻上周りのトラブルが比較的多く
今回のように巻上ロックだったり
ミラーチャージ不良で巻き上げたと同時に
シャッターが切れてしまったりとか
巻上完了済みなのに巻上軸が戻ってこなくなり
シャッターが切れないとか。。。がよくある症状です。
比較的関連しあっている部分なので
予防も含めてその辺りのチェックと整備も行います。

もちろんシャッタユニットの整備、
各電気接点の清掃整備も行います。
今回は露出計が妙に不安定な動きを見せているので
その修理も並行して行います。
シャッタースピード、露出計精度、オート精度は
最終的に電気的に調整します。
全体的にかなりアンダー目の動きになっていたので
その辺りも今回の調整で改善されます。
先日、FGの修理も行いましたが
やはりクラスが一段絵のFEはFGと比べると
いろいろなところがしっかりできています。
でもその分FGは軽いのですよねぇ
一長一短ありますがどちらも良いカメラです。
どちらも中身を見比べることができると
いろいろ思うところも多くそれもまた楽しいですね。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

オリンパス35DCのカメラ修理

今日は11月12日
いい(11)ひ(1)ふ(2)という語呂合わせで
「皮膚の日」
さらに良い肌を保つための
「コラーゲンペプチドの日」となっています。
もうね。いろんなところにいつのまにか
シミができるのよ(苦笑)
50過ぎのおっさんだからしかたないのだけど
さらに擦り傷とか切り傷とか作っちゃうと
なかなかキレイに治らないのよ
下手すると1年近くかかっちゃう。。。
若いときなんてちょっとしたキズなら
2週間もかからずに治ったと思うのだけど。。。
これきっと傷だけじゃなくて
病気とかでダメージ受けると治りが遅いってことだよね。
あぁこれ以上何か翁病気のないように気を付けなければ。。。
とりあえず皮膚というか肌も油断すると汚くなるので
コラーゲンは積極的に摂ったほうがいいのか。。。
豚足、ホルモン焼き、もつ鍋。。。あぁどれもいいですねぇ
酒が美味くなるものばかりだ。。。(笑)

さてさて

今日は「オリンパス35DC」のカメラ修理を行っています。
大口径40mmF1.7のF.ズイコーレンズを搭載するコンパクトカメラです。
露出は絞り羽根を兼用するプログラムシャッターによる
プログラムAE専用機です。
以前もDCのブログで書きましたがこの時代の大口径レンズは
ボケを積極的に楽しみむものではなく
光量の少ない場面で少しでもシャッタースピードを稼ぎ
手振れを少なくするためのものです。
ちなみにF1.7開放の時のシャッタースピードは1/15となります。
(絞り羽根兼用のシャッターのため
SSの組み合わせは必然的に決まります。)
LVでいうとASA100の場合でおおそそ5.5くらいですね。
LV5.5というとほぼろうそくの光に近いくらいです。
相当薄暗いところでもシャッターは切れるということですね。
オリンパス得意のシャッターロックも装備されているので
それ以上に暗いところ、あるいは露出計が動作していないと
しっかりシャッターロックがかかります。
大口径レンズ搭載のためレンズの出っ張りは大きいですが
ボディサイズそのものは相当にコンパクトです。
それでもしっかりレンジファインダーを装備します。
露出を積極的にコントロールするカメラではありませんが
(+1.5段の逆光補正ボタンは装備)
十分な機能を備えたコンパクトカメラです。

お預かりしている35DCは比較的キレイな個体です。
DCのよくある困ったトラブルと言えば
落下させたりすることでレンズ先端を強打すると
ASA感度設定版が破損していしまい
回らなくなる。。。というのが多いのですが
(こうなるとちゃんと直すには部品交換した手段がありません)
今回の個体はそんなそぶりも全くありません。
ご依頼者様のお話によると最初は動作していた
露出計が全く反応しなくなり、
それによりシャッターが切れない。。。ということです。
電池を入れてみると
あれ?普通に動きますよ。いいのかな?と思っていろいろテストしていると
何回か動作させているうちに
本来ASA400・1/500・F16(ギリギリ露出範囲内になる明るさ)で
突然1/60・F4あたりになり、そのうち全く振れず
指針は左端に逃げてしまうようになりました。。。
「なるほど。。。この状態のことを仰っているのね」
とりあえず分解に入る前に症状が確認できてよかったかな。。。

これから本格的に分解整備取り掛かりますが
おそらく電池室裏のハンダ付け劣化か
配線が腐食しかけているために
電圧が安定して供給されないのだと思われます。
露出計本体の不良の可能性もなくはありませんが
おそらくそうではないような気がします。
これからレンズボードを外して
ちょっと変わった位置(正面から向かって右下)にある
露出計やそのそばにある電池室の状態を
チェックすることから始めます。
もちろんその際にシャッタユニットの整備
レンズ清掃等々も並行して行います。
今回はご依頼者様と相談の上、使用電池の電圧は
1.5Vということで調整します。
そのままで1.5Vで使用すると2段近くアンダーになってしまう
(振りすぎてしまう)ので
その辺りも最終的に調整を行っていきます。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

ニコンFGのカメラ修理

今日は11月11日、ぞろ目ということもあって
たくさんの記念日が制定されています。
「麺の日」、「電池の日」、「箸の日」
「チーズの日」、「靴下の日」、「ポッキーの日」
「おりがみの日」、「煙突の日」、「下駄の日」
「チンアナゴの日」。。。等々
これでもほんの一部です。
そんな中に「ひとり旅の日」なんてものもありますねぇ
一泊以上の山登りはもはや「旅」だと思っているのですが
以前、頻繁にテント担いで山登り行っていた頃は
ほぼ全て単独行でした。
体力のバランスの問題もあるし
気ままに写真を撮りたいから。。。というのもあるのですが
基本的に「ひとり旅」が好きなのかもと思います。
確かに考えてみれば
よほど気の合う友達でないと一緒に行動するのは
昔から苦手だったかな。。。
本格的な山登りは身体の問題もあり
まだまだ無理ですが
この冬は一度くらい
ひとりでのんびり温泉旅にでも行って来ようかな。。。(笑)

さてさて

本日は「ニコンFG」のカメラ修理を行っています。
いわゆる「EMシリーズ」の一員ですが
絞り優先AE専用機だったEMをベースに
マニュアル露出とプログラムAEを搭載し
露出計もLED表示としたフルスペック機です。
EMはエントリー機としてかなり割り切った機能に絞り込んだ
シンプルなカメラで海外ではかんり成功を収めたのですが
国内、特に従来のニコンユーザーからは
このスペックでは物足らないという声も多く
多機能化したFGを導入したなんてことも言われています。
また詳細は長くなるので割愛しますが
FGのプログラムAEにはプログラムシフトという
SS優先AE的に使える機能も搭載しており
その機能に対応させるためAi-Sレンズが発売されました
ただ、少々ややこしいのは従来のAiレンズでも
ある程度対応できるようにミラーアップ直後に
ご丁寧に「瞬間絞込測光」を行って補正する仕組みになっています。
何ともニコンらしい考え方のような気がします。
このあたりの機能のせいもあって
レリーズフィーリングやシャッター音は少々独特なものです。
「シャコーン」といった感じで個人的には結構好きですが。。。

お預かりしている「FG」は
モルトが全滅でファインダー内にカビが大量に発生しており
長らく使われないまま放置されていたものと思われます。
一通りの動作はできているようだったのですが
シャッター羽根の汚れのせいか
高速シャッターでは精度が不安定で
それとは別の原因でオート露出が大幅にオーバー目なようです。
80年代の電子制御機ということで
修理不可能な場合も結構多いのですが
今回のFGは機械的な整備と接点類の清掃、電気的な調整で
問題なく撮影に使用できる状態にできそうです。

装着しているレンズは当店のテスト用レンズですが
やはりEM系のカメラにはAi-s50/1.8のパンケーキレンズが似合いますね。
確かに質感は上位機種であるFEと比べると
それなりな部分はありますが
機能的にはあまり変わらず
それでいてFEよりずいぶん軽量なFGはなかなか魅力的なカメラです。
EMシリーズはEM、FG、FG-20が存在しますが
EM以外は意外と人気薄なのでこれから手に入れるのも
良いかもしれません。
ただ、オート時にSSが制御できていない個体は
(薄暗い場所で低速SS作動状況で確認するとわかりやすい)
ほぼ修理不可能なのでやはり周囲が必要なカメラです。
今回のFGはそんなこともなく
問題ない状態に仕上がっています。
これから最終チェックを行って完成となります。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

キヤノンAE-1のカメラ修理

今日は「119番の日」だそうですよ。
いざという時には非常に頼りになりますが
(私も2月にお世話になりましたが)
あまりお世話になる機会はないほうが良いですね。
ちなみに2月に救急車を呼んだ時には
救急車が来てくれるまで約5分
到着して現状を確認し救急車に乗り込み
搬送先を探すのに約5分
実際に病院まで搬送されるのに約5分。。。といった感じで
呼んでから15分程度で病院まで到着することができました。
まともに体も動かず不安な状況で
この素早さは本当に助かりました。
ところで119番は元々は112番だったそうです。
当時はダイヤル電話でできるだけ短いダイヤルで
かけられるように112番だったそうですが
意外と間違い電話が多く
最後にダイヤルを回す時間の長い「9」を入れることによって
落ち着きを取り戻してほしいとのことで
「119番」に変更されたそうです。
「110番」も同じ理由で最後が「0」なのだそうです。
「0」はダイヤル式電話では「9」の後ろで
実際には10回パルスを打ちます。
。。。っていうのがぱっとイメージできるのも
私みたいなおじさん世代以上限定なのですよねぇ(苦笑)

さてさて

本日は「キヤノンAE-1」のカメラ修理を行っています。
1976年に発売された「キヤノンAシリーズ初代機」です。
キヤノンのカメラ部門だけではなく
電卓やコピー機で培った各部門の技術を集結して
開発されたカメラです。
世界初のマイクロコンピュータ搭載の
中央集中制御方式のカメラです
TTL開放測光シャッタースピード優先AEを搭載し
同じようなスペックであった1973年のEF以上の性能を
コンピュータで実現し約300点の部品削減と
生産の効率化によりコストダウンを成功させています。
AE-1の登場により
他メーカーも含めたカメラの電子制御化が一気に進んだと思います。
そしてそれについていけない一部のメーカーが淘汰されていきました。
まるで初代キャノネットのデビュー時のようですね。
キヤノンのカメラはこういう時代の節目に
ターニングポイントとなるカメラを開発することが多いですね。

当時の最新鋭の電子技術を駆使したAE-1ですが
意外と電子部品のトラブルは少ないカメラです。
それよりも最近見かけることの多いのは
無理な分解によるフレキの破損とかで
修理不能となっている個体のほうが多いような気がします。
お預かりしているAE-1は
ご依頼者様が長年愛用されている個体とのことですが
どのSSに設定してもシャッターが
開きっぱなしになってしまうということで
お預かりしました。
これも電子部品の不良ではなく接点の汚れによるものでした。
それよりも分解し始めてすぐに発覚したのが
SSダイヤル連動糸が切れてしまっていることです。
分解時には連動糸のテンションが一番緩くなる位置に
ダイヤルを設定してから外さないと
大概の場合、ダイヤルを外した瞬間に一発で糸が切れます。
分解しようとしない限りは
そう簡単に切れるような糸ではないのですが。。。

連動糸のみを張りなおしたり、糸を繋ぎ合わせるのは
後々のことを考えると非常にリスクが高いので
糸が繋げられている部品ごと中古良品のものと交換します。
ある程度まともにシャッターが動くようになったところで
再チェックを行うと、ある意味予想通りですが
盛大に定番のシャッター鳴きが確認できました。
シャッター幕軸やミラー駆動部等々
動作部は念入りに清掃を行い最小限の注油を行います。
今回も何とか修理不能ということもなく
無事に問題なく動作する状態に直せそうです。
でもやはり何台かに1台は電子部品の問題で
どうにも修理不可能な状態なものもあるのも事実です。
ちょっと厄介なのはある程度分解してみないと
それがわからないことも多いのです。。。
でもAE-1はまだまだ比較的直せる可能性が高いと思います。
そういう意味ではAE-1の跡に出るA-1のほうが
修理不可能な個体は多いような気がします。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

リコーフレックスⅦSのカメラ修理

今日も11月恒例の「いい〇〇の日」が
たくさん制定されています。
「いい歯の日」、「いい歯ならびの日」
「いいおっぱいの日」、「いいお肌の日」
「いいパックの日」、「いい泡の日」。。。などなど。。。
そんな中。今日は「刃物の日」でもあるそうです。
これも「いい(11)は(8)もの」の語呂合わせですね。
仕事柄、刃物も毎日使います。
さすがに包丁まではないですが
主にカッターナイフですかね。
普通のカッターナイフはもちろん
モルト用にロータリカッターも使います。
細かいものを細工するための薄刃のカッターも使います。
カッターだけではなくハサミも普通のものから
小さな精密ハサミも使います。
あ、ガラス切りも一応刃物かな。。。
たまに彫刻刀も使うかな。。。
どれにも共通しますが
切れ味が悪くなったら即交換です。
刃物だけではなくはんだこてのこて先とかもそうですが
劣化したものを誤魔化して使っているとロクなことになりません。
取り返しのつくちょっとした失敗くらいならいいですが
怪我の元になることもあり、取り返しのつかない失敗の原因にもなります。
以前、ドライバーの話でも書いたような気がしますが
道具は最高級品でなくてもよいので
(そりゃ使い心地は良いですし良い道具に越したことはありません)
ある程度のキチンとした道具を頻繁に交換しながら使うことが基本です。
劣化した道具を使うことほど危なっかしいことはないと思います。
何の分野でもそうだと思いますが
そういう部分はケチってはいけないのですよね。。。
あ、当然、きちんと手入れをすることで
道具そのもののコンディションを保ち長持ちさせることも当然です。

さてさて

本日は「リコーフレックスⅦS」のカメラ修理を行っています。
リコーフレックスシリーズは
プレスボディで基本の重量が軽いことに加え
必要最小限の装備で非常にコンパクトに作られた二眼レフです。
ダイキャストボディで撮影に便利な機能をいろいろ追加した
王道の二眼レフにはそれはそれで良さもメリットもありますが
その対極を行くシンプルさを追求した二眼レフということもできます。
当然、フィルム装填は赤窓式で巻き止めも二重露光防止機能もありません。
シャッターユニットもシンプルなもので
今回のⅦSはB+5速ですが3速のモデルも存在します。
ピント合わせもレンズボードの繰り出しとかではなく
前玉回転式で前玉に付けられたギアを直接回すことで行います。
撮影のための機能が最低限のため
その後の便利なフィルムカメラに慣れていると
戸惑うことも多いとは思いますが
撮影の原理がわかっていて操作にも慣れてくると
どの操作も当たり前に必要な操作だというのがわかってきます。
ただ、意図しない二重露光や未露光は
うっかりするとやらかしてしまうかもしれません。

お預かりの「リコーフレックスⅦS」は
前玉回転式のピントギアの設定が狂ってしまっているようで
繰り出し側(最短撮影距離側)に回していくと
ギアが止まる前に外れてしまいます。
おそらく分解品でピントギアは
適当に組んでいるだけのものと思われます。
シャッタユニットに固着跡があり
ガバナも一時期固着していたものと思われますが
その際に部品の変形も発生しているようです。
レンズは若干のコーティング傷みがあり
清掃では取り切れない部分もありますが
それほど撮影に大きな影響が出るほどではありません
ファインダーミラーはいつものごとく
クモリ・劣化が酷いので交換で対応します。
細かい問題はいろいろとありますが
とにかくある程度分解してしっかり清掃・調整を行って
キチンと組みなおせば本来の動きに戻せる状態です。

で、画像は一通り整備が完了した状態のものです。
リコーフレックスは当時、日本のカメラ生産量の半分以上を
リコーフレックスが占める、と言われるほどの大ヒット商品です。
その大ヒットの要因はシンプルに効率よく作ることで実現した
当時としては価格破壊的なお求めやすさです。
。。。とはいえ、この時代のカメラは
いわゆる高級嗜好品の代名詞です。
つまり安かろう悪かろうでは許されないものがあったと思われます。
リコーフレックスは機能はシンプルですが
その分持ち運びしやすくきちんとキレイに撮影でき
当時の高級品の佇まいは十分に醸し出していると思います。
上の画像を見ていても眺めているだけでも
何だかワクワクしてくるカメラだと思います。
これでブローニーフィルムならではの良い画質で
しっかり撮れるのですからそれは素晴らしいですよね。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

ペンタックスSPのカメラ修理

今日は「立冬」ですね。
いよいよ冬に向かって日に日に寒くなってきました。
今日は「立冬」に関係して
(いよいよ寒くなってきたので
温かいものを食べましょうという意味)
鍋関連の記念日が多い日です。
「鍋の日」、「もつ鍋の日」
「鍋と燗の日」とかが制定されていますね。
鍋と燗だなんてそんな無敵な組み合わせは反則です(笑)
今夜は鍋に熱燗で。。なんて考えただけで仕事になりません
「もつ鍋」もいいですがやはりこれからの季節の鍋は
「牡蠣鍋」ですよねぇ。。。土手鍋が定番かもしれませんが
私は基本水炊きでポン酢でいただくのが好きです。
白菜やキノコ類に豆腐に牡蠣。。。これだけあれば十分です。
で、鍋が熱々なので酒はぬる燗くらいでいいかもしれません。。。
まぁ、冷やでも全く良いのですが。。。
やはりメインは鍋なのでお酒は純米酒のほうが合うような気がします。
あぁ、すっかり区分は鍋モードになってきました。
今夜も冷えそうですし
とっとと仕事は終わらせて鍋と酒に酔いしれましょう(笑)

さてさて

本日は「ペンタックスSP」のカメラ修理を行っております。
なんだかんだいってSPの修理も毎月のようにありますね。
M42マウント機を代表するカメラでもありますし
発売当時から優れたコストパフォーマンスと使いやすさで
大人気だったカメラですが
今でも大人気なカメラです。
大ヒットしたカメラなので現存台数が多く
手に入れやすいということも魅力の一つだと思います。
SP以前のペンタックス機だと露出計も装備されず
やはりとっつきにくい。。。というのもあるでしょうし
SP以前のSVやS2だとシャッター幕の劣化の激しい個体も多く
その点でもSPのほうが安心度が高いかと思われます。
。。。とはいえ、発売から50年以降経過するカメラです。
なかには整備されている個体もありますが
大半の個体は新品時から使いっぱなしのものが多く
さすがにそうなるとモルト類・油脂類の劣化のため
いろいろなところで問題が出ている状態だと思われます。
致命的な破損等がなければ修理は可能なカメラではあるので
しっかり整備してやれば現在でも安心して使えるともいえるカメラです。

お預かりしているSPは
比較的キレイな外観のブラックボディです。
ご依頼者様が最近入手したものとのことです。
整備することを前提で手に入れたとのことで
早速拝見させていただくと
まずはファインダー内横方向に黒い線が見えます。
定番のプリズム腐食です。
SPはプリズム台座からの光漏れを防ぐ為に
プリズムの外周にぐるりと遮光材が貼ってあるのですが
これが加水分解を起こしプリズムの蒸着まで剥がしてしまうのです。
定期的に遮光材の交換をしておけば発生しないのですが
なかなかそこまで行っている個体は少なく
SPの多くの個体で発生しているトラブルです。
プリズム再蒸着という手段もありますが
当店では再蒸着は行っていないので
中古良品のプリズムと交換で対応します。
プリズム腐食が放置されているということは
これまで数十年間は未整備だと推測されます。
巻上の感触から判断しても油切れの兆候はありますが
シャッタースピードを測定してみると
やはり幕速のバランスは大きく崩れていて
高速シャッターの精度は全く出ていない状況です。
露出計は動作していますが精度は若干ずれてしまっています。
今回は1.5Vで再調整します。

装着しているレンズは当店のテストレンズです。
外装もできる限り磨き上げました。
非常にキレイな状態になっていると思います。
シャッターが安定して
精度が出ていることはもちろんですが
巻上のフィールが明らかに軽やかになったと思います。
この辺りは感覚的なものであり
個体差・環境差にもよるので
どういう感じが正解というものが表せないのですが
今回は明らかに預かり時よりは良くなっていると思います。
プリズム交換しスクリーン清掃もしているので
もちろんファインダーもクリアです。
露出計電池はLR41をスペーサーを使って装着しており
精度も全く問題ないレベルになっております。
これなら自信をもって
今後、安心して快適に使っていただけると思います。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。